二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【ボカロ神曲で小説作ってみた】パンダヒーロー ( No.28 )
日時: 2012/03/16 17:46
名前: 菜の花 (ID: TaF97fNV)

***



「いいなぁ、おじちゃん、早くそれ李沙にちょうだい」目をキラキラさせ、フェンスに体を寄せながら催促する李沙に男は待っ

たをかけた。

「ごめんねぇ。おじちゃん、お嬢ちゃんがこっちに来てくれないと渡せないんだ・・・・」

そう言って、男はポシェットを再度チラ見せしてから大事そうにポケットの中に突っ込んだ。

「え・・・・」そう言われた途端、前に保育士が言っていた言葉がフラッシュバックする。

———『知らない人について行ってはいけません』———

ついでに思えば、幼稚園の外へ出るのも駄目と言われた気がした。

(でも・・・・)すごく欲しい。実は、この前買い物中カナにこのポシェットをねだって駄々をこねたが、カナにはあっさりと断

られたのだ。

『李沙、お前どうせすぐにまたあれが欲しいとか言い出すから駄目だ。』

(ちょっと位なら、いいよね。おねぇちゃんから渡して欲しいって言って来てもらってるんだから)

そう決断したや否や、さっきまでの迷いは何処かへ行ってしまったかのように、躊躇無くフェンスを乗り越えた。

「おじちゃん、こっちへ来たからそれちょうだ・・・・」

言葉が途切れる。

そのまま、李沙は深い眠りに落ちた。

「ふっ、ちょろいもんだ」男は李沙の口元からハンカチを取った。

ハンカチには薬か何かしこんであったのか、薬品独特の臭いを発している。

「これで・・パンダのトコのチビはしとめた・・・・」

はぁはぁと気味の悪いような荒い息をマスク越しにくりかえしつつ、独り言のように男は呟いた。

(これで、薬が手に・・・入る・・・・)ひらりと、風の影響で紐が外れかけたマスクが取れた。

————その顔は、麻薬中毒者の顔。すなわち、ジャッカルだった。

「ふふふ・・・・」狂人のように笑いながらジャッカルは意識の無い李沙を車内に引きずり込み、何事も無かったかのようにエン

ジンをかけた。



***