二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【ボカロ神曲で小説作ってみた】パンダヒーロー ( No.37 )
日時: 2012/03/13 19:07
名前: 菜の花 (ID: TaF97fNV)
参照: もう原曲「パンダヒーロー」の欠片も無いw

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ここは普通驚くとか、心配するとか、そういうリアクションがあるだろ、そう拓実が思った矢先、店の裏口がかなり乱暴に
開けられた。

「あ、てんちょーお帰り〜」事実を知ったにも関わらず、相変わらず呑気なGUMI。

「大熊さん!り、李沙ちゃんって・・・・・!?」誘拐されたんですか、そう言いかけると、それより先に大熊は2人の所へつかつ

かと歩いて行き、カウンターの上に何かを投げ捨てるように置いた。

「何これ?」GUMIが大熊の置いた物を手に取る。それにつられ、拓実もGUMIの手元を覗き込んだ。

それは、あまりにも奇妙な物だった。

歪な形をしており、黄色い、古びた旧式のラジオに見える。

「・・・・・何だコレ」もう一度まじまじと、その歪なラジオのような物?を見た。

「———————っあ」突然、GUMIが何か思い出したようにそのラジオ?を向きを変えてじっと見つめる。そしてこう言

った。

「この変なやつ、よく見たら犬に見えない?」

(犬?)疑わしく思いつつも、拓実はGUMIの指示する角度からもう一度歪なラジオ?を見た。

「ねっ?」

(確かに・・・・)言われてみれば、犬に見えなくも無かった。

「それに・・・・それの底見たら、英語で“犬ラジオ”って書いてあるし」

言われた通り、底には下手な字で“Dog radio”と書かれていた。しかも、ペンで書いたのではなく、彫刻刀か何かで薄く彫

ったような感じだ。

「・・・・つー事は、コレは・・・・ラジオ、と見ていいのか?」

少々疑問に思いつつも、表面にある、水色の音声を流すためのツマミを試しに回す。

「ザザ・・・・・・ザッ・・・・・ジー、ザザーッ・・・」出てくるのはノイズだけだった。

「「・・・・・・・・・・・・」」もう少し何かマシなものが流れてくるかと思った2人の間に、(特にGUMIは)がっかりした、変な

脱力感が漂う。

「てんちょ〜・・・・・このラジオがどうかしたの?」完全にやる気をなくしたGUMIが暇そうに言う。

「てんちょー・・・・・?」大熊は、カウンターの横にある椅子に座り、深刻な顔をして、地面を見つめている。

「大熊さん・・・・何が、あったんですか?」拓実とGUMIが不思議そうに大熊に尋ねると、大熊がスッと顔を上げた。

「そのラジオ・・・・・・」

「ラジオが、何か問題でも・・あるんですか?」こんなラジオ、少々外見がおかしいだけで、壊れたラジオじゃ無いのか。

「脅迫文だった。」






一瞬、店内が静寂に包まれる。

脅迫文———————刑事ドラマによく出るが、普通は目にかかることは無い代物だった。

「ツマミを、5の所に合わせてみろ」拓実は言われた通りツマミを5に合わす。

すると、しばらくノイズが続いた後、人の声が聞こえてきた。

『あーあー・・・・・よし、聞こえるな』聞こえたのは、男の声だった。

「誰なの、この声」

不思議そうにしているGUMIの横で、拓実は戦慄した。

(こ、この声って————)チラッと大熊の方を見る。

大熊は、黙って頷いた。

まるで、「正解だ」とでも言う風に。



***