二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【ボカロ神曲で小説作ってみた】パンダヒーロー ( No.47 )
日時: 2012/03/17 18:59
名前: 菜の花 ◆GmIm2XHxIQ (ID: TaF97fNV)

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その『リサ』という読み方が合っていたのか、それともただの偶然か—————赤ん坊の顔に笑みが広がった。

「あっ、・・・笑った・・」そして機嫌がいいのか知らないが、きゃっきゃと笑い声を上げている。

「ふーーーっ、よかった・・・」赤ん坊と云うものは、私だけだろうが泣いていると、こっちまで不安になってくる。

一息ついた所で、李沙を自分の部屋の布団に寝かせた。(姉のは持ち出されていたから)その後キッチン兼リビングへと

行き、棚に置いてある電話で、いつも生活費等を出してもらっている祖父母の家の番号を押した。

しばらく、プルルル・・・・という音が続き、「はい」と言う、いつもと変わらない祖母の声がした。

「—————もしもし」

『あら、カナちゃん。どうしたの?』この様子では、祖母は知らないようだった。

「姉貴に————」

『お姉ちゃんがどうしたのよ』

「子供が出来た」その一言を言った後の沈黙は、大体たっぷり1分はあったのをよく覚えている。

『—————っは?』祖母は素っ頓狂(すっとんきょう)な声を上げ、電話越しからでも驚いたをしているのが見え見えだった。

『そ、それってどういう事なの?お姉ちゃんに代わって説明するように言って頂戴』

そんな事を言われても、姉は今家にいない。

「姉貴は・・・・今いない。何か『しばらく帰らないから』って言って・・・子供、私に預けて出て行っちゃった」

その行き先は、私もどこか知らないけど。

『嘘でしょ・・・・・・』祖母は信じ難い、と言うような口調で「おじーさーん」と、電話口の向こうで祖父を呼んだ。

少し経った後、電話口に祖父が出てきた。『もしもし』

「じいちゃん・・・・」

『裕香(ユウカ)・・・・・は、今・・・そっちにいないんだな』

「うん」

『————分かった。じゃあ、今からおじいちゃん達がそっち行くから、子供はそれまで預かってて』そう言って、祖父

の方から電話を切った。

その声は、とても信じられない、と言う感情がにじみ出ていた。

(そんなの、私だって————)信じられない。

          κ         κ          κ          κ         κ

その日から、色々と忙しかったけど李沙は私が面倒を見る、という事になった。

周りは「うちで預かる」、「施設に入れたらどうか」など、そのような事を何度も言ってきたが、私は頑なにそれを拒んだ。

だって、信じてるから。

姉貴は帰ってくるって。

そのせいで周りに何と言われようと、私はそれを曲げない。・・・・絶対に。

無責任でも、帰って来なくても、私を育ててくれた一人だけの姉貴だから。

「おねぇちゃん、李沙のママは、————————いつ、帰って来るの?」こんな質問をされて、言葉が出ない日もあった。

「・・・・いつ、か。絶対帰ってくる」大丈夫と、自分に言い聞かせるためにも、李沙にはいつもそう答えた。

「姉貴は—————————絶対に帰ってくる」




Я      Я     Я     Я     Я     Я     Я     Я     Я     Я



「・・・・・・・・違う。違う違う違う」大熊は何かトラウマを思い出すかのように、頭を抱えその場にしゃがみこんだ。

「違わないさ。だって・・・・」それに追い討ちをかけるかのように、ジャッカルは言葉を続ける。

「違う!」そういうと大熊はゆらりと立ち上がり、ジャッカルを見据え言った。

「お前——————————姉貴を・・・・・・・姉貴のこと、何か知ってるのか」

「知ってるさ」ニヤッと、気持ちの悪い笑みを見せ、ジャッカルが注ぎ直した酒を飲んだ。

「何をだ」

「だって———————————俺と裕香は一緒に駆け落ちしたじゃないか」


***