二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 【ボカロ神曲で小説作ってみた】パンダヒーロー ( No.48 )
- 日時: 2012/03/19 18:53
- 名前: 菜の花 ◆GmIm2XHxIQ (ID: TaF97fNV)
- 参照: 大熊さんの姉、裕香さん目線でーす!
***「パンダヒーロー」第11話***
生まれてはじめて入った空港のロビーの風景を、私は後悔半分、不安半分、いや、半分どころじゃない。後悔だって、半分
どころじゃなかった。でも、こう決断したのは自分。そう考えながら、不安と後悔、そして『期待』が合わさり複雑な心鏡
で、ロビーのあと何十分で飛行機に乗る時間か示す時刻表に目をやる。
「後悔しないって、言ったのは・・・・私だしね」ボソッと呟き、先程から手にしっかりと握っているパスポートを見つめた。
それには、自分の顔写真、『大熊裕香(オオオクマ ユウカ)』と書かれている自分の名前、正真正銘の自分のパスポート。
(本当に・・・・・・・これで良かったんだ)ハァッと溜息をつき、足元の旅行鞄の持ち手を引っ張ったり縮めたりして、よく言う
手遊びをしながら人を待つ。
「裕香」後ろから不意に呼ばれ、今一番聞きたかった声の主の方へと、私は振り返った。
「ジャン!!」
人が異常に多い空港のロビーで不安がっていた私を察して、予定より早く来てくれたらしい。
「会いたかったわ。ありがとう、ちょっと早く来てくれて」
この日のために少ない小遣いを貯めて買った今日おろしたばかりの真新しい、流行のデザインのパンプスを履いた足で、
目の前にいる長身で、少し髪にメッシュを入れた男の背に目線を合わせようと背伸びをする。
「まぁ、空港来た事無いって言ってたからそれの案内もかねて」目の前に立つ男は少しぶっきらぼうな口調だが、とて
も優しそうな目を私に向けた。
この男の名前はジャン。
『ジャン』という名前が本名なのか偽名なのか知らないけど、そんなのどうだっていい。
ジャンを好きなら、愛しているなら。それに、ジャンだって私を愛してくれている。
「あ・・・・・そろそろ」ジャンが空港のパスポートをチェックする場所へと、私を誘導した。
「うん・・・・・」私達2人のこの光景は、単なる旅行ではない。
かといって、仕事上のものでもない。
—————————『駆け落ち』の為だ。
まるでドラマみたいな展開だけど、事実上今、私は空港で飛行機に乗ろうとしている。
何処か遠い、海外へ。
「——————————向こうではもう仕事は手配してある。裕香、お前も俺も、偽名で暮らす事になる。本当に・・・・・・・・
いいんだな?」
じっと私を見る彼に、私は迷わず“Yes”と答えた。
「決めたでしょ。“ついて行く”って・・・・・・」
彼(ジャン)は、私にとって初めての、家族以外で最も愛する人になったから。
もしかして、いや、きっと家族以上に愛しているだろう。
***
私の予想では、裕香さんは尽くす女のタイプ・・・・・って、自分で考えたくせに何『予想』とか言ってるんだ、私。
何はともあれ、裕香さんの愛が多少行く所までいっちゃってるのは確かです、ハイ。
んじゃ、そろそろあとがきは終了。では!
(11話終了したわけじゃないです)