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どうしてだろう。

何も、言葉が出てこなかった。

「こうなったからには、俺にも責任がある。でも——やっぱり」

私の意見を尊重する、とでも言いたいのだろうか。

ジャンさんなら言うかもしれない。

でも。

「・・・・・ごめんなさい」

「っは？」

「私、分からないの。どうしていいか」

きっとこれは夢だ。

そう願いはじめてどれくらいたつのか。

「分からないの。これからどうするかも、家族にどう説明するか、とか。全部」

無責任？もうどうでもいい。

「って、どうするんだよ！生むとか、生まないでおろす、とか」

これまで聞いたことのなかった、低くて何かがこもったような声が目の前で聞こえる。

消え入りそうになった語尾が、騒がしい店内に飲み込まれて消えた。

「・・・・・」

重苦しい沈黙が流れて、とうとう折れたのかジャンさんが決意したように言い出した。

「・・・・なぁ」

「何？」

「逃げになるかもしれない。全部、駄目になるかもしれない。家に帰れなくなるかもしれない。それでもいいというんなら・・」














「着いて来て、くれ・・・・」

搾り出すようなその一言で、私は、今日までの思い出も、カナも、すべて——

捨てるも同然で決意した。

「・・・・・はい」

これで、良かった。

これで。


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