二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 【ボカロ神曲で小説作ってみた】パンダヒーロー ( No.78 )
- 日時: 2012/08/04 19:03
- 名前: 菜の花 ◆GmIm2XHxIQ (ID: TFYTRxC.)
- 参照: 駄文だっていいじゃないか。
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しんとなったこの空気。
ジャッカルは、話し終えたと同時に、酒を一気に飲み干した。
「・・・・そういうことだ」
拓実は、二人を交互に見た。
二人とも、無言で俯いているが、大熊は泣き出しそうな、こらえたような表情だった。
「・・っ・・・・の」
「お前っ、姉貴を————————っ」
椅子がひっくり返り、大熊は大声で怒鳴った。
だが、言い切れなかったのだろうか。
言葉がつまり、何も言わなくなった。
もう、見ていられない。
拓実は、自分でも意識しないうちに目を、大熊から逸らしていた。
その時。
不意に、人が椅子からゆっくりと立ち上がる音がして、見ると、ジャッカルが立ち上がって大熊を見据えている。
「何処・・行ってたんだよ、・・・・なぁ」
ジャッカルがふらふらと大熊に近づく。
「っ来るなっ」
二人は軽いもみあいになり、その振動でテーブルの上のものが音を立てて落ちた。
(———三遊間)
目の前で人がもみ合いになっているというのに、じぶんはここまで甲斐性も何もなかったらしい。
白昼夢を実際に見た事などなかったが、見たらきっとこんな感じなんだろう。
立ち尽くしたまま、昔に辞書で引いた、『三遊間』という言葉を不意に思い出した。
『三遊間』————意味は忘れたが、本に書いてあった言葉がわからなくて引いたということを覚えている。
確か、野球の物語だったけ。
そう思い出した瞬間、ふっと意識がはっきりとしてきた。
目の前では、大熊がジャッカルに銃を向けていた。
銃を向けられているというのに、当の本人は光のない目でへらへらとしていた。
気がついたら、拓実はジャッカルの背後へと、酒瓶を投げつけていた。
打ち付けると同時に、振動と鈍い音が返ってくる。
自分がヒーローか何かになった気分とでも言おうか。
そんな、気分だった。
“うまくいかない感情制限”
どこかで、聞いたフレーズが聞こえた。
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