二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第79話「豪炎寺の決意!」 ( No.50 )
日時: 2013/03/18 17:19
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)




豪炎寺家——


夕香は皿にフォークを置く。


夕香「ご馳走様! フクさん、美味しかった!」

フク「それはようございました。」


食器を片付けている豪炎寺家の家政婦——フク。
夕香は落ち込んだように視線を落とした。


夕香「お兄ちゃん遅いねー。」


ガチャッとドアが開くと、夕香の目がきらめく。


夕香「お兄ちゃんだっ!!」


夕香は玄関まで駆け寄る。
豪炎寺が帰ってきていた。


夕香「お兄ちゃん、お帰り!!」

豪炎寺「ただいま、夕香。」


豪炎寺はしゃがみ込んで夕香の頭を撫でる。


フク「お帰りなさいませ。これ、洗濯物ですね。」

豪炎寺「ああ、頼むよ。」


フクは豪炎寺の鞄を持って行った。


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夕香「えーっとえっと、それとね、そう! エリちゃんと、ミキちゃんと、マイちゃんとで縄跳びをして、それから鉄棒もしたよ!」


うきうきと出来事を話す夕香を、豪炎寺は微笑ましげに見る。


豪炎寺「いっぱい遊べたんだな。」

夕香「うん!! 明日もね、遊ぶ約束したよ!」

豪炎寺「そうか。良かったな。」

夕香「早く明日にならないかな〜…」


フクは2人の様子を暖かく見守る。
豪炎寺は鞄を肩に掛けた。


豪炎寺「じゃあ、お兄ちゃん、合宿所に戻るよ。」

夕香「えーっ!? もう行っちゃうの?」


夕香は豪炎寺の服を掴む。


フク「夕香ちゃん、いけませんよ。修也さんは今、毎日練習で大変なんですよ。」

夕香「つまんないなぁ。」

豪炎寺「またすぐ戻って来るよ。」


夕香の肩を優しく抱く豪炎寺。


夕香「…うん!」


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玄関でフクと夕香は豪炎寺を見送りに来ている。
豪炎寺は靴を履く。


フク「気を付けて、お戻り下さい。」

豪炎寺「ああ。」


豪炎寺が鞄を持ち上げようとしたとき、玄関の扉が開いた。
中からは眼鏡を掛けた、豪炎寺と似た双眸をした男性が出てきた。


豪炎寺「…お帰りなさい、父さん。」

フク「お帰りなさいませ。」

夕香「お帰りなさーい。」


フクは頭を下げ、すぐに専用のスリッパを出す。
豪炎寺の父——勝也は挨拶を返さない。


勝也「…こんな時間から何処へ行く。」

豪炎寺「…合宿所に、戻ります。」


フクは悲しそうに俯いた。


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豪炎寺はエレベーターに乗る。


豪炎寺「……」


ドアの閉まり際、悲しそうに目を伏せた。


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(OP)


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雷門中グラウンド。
ゴールに立つ円堂の前には、豪炎寺・虎丸・吹雪・ヒロトのFW4人。


円堂「次! 虎丸!」

虎丸「行きます!」

円堂「よし、来い!!」


円堂は身構える。


虎丸「タイガードライブ!!」

円堂「正義の鉄拳!! たあああっ!!」


円堂はボールを弾き返した。


虎丸「っ…」

円堂「どーした、その程度かー!?」

虎丸「……、ちょっと手加減しただけですよー!!」


虎丸は豪炎寺が見ている為か、少し意地を張る。


円堂「練習だからって手加減する必要はないぜ? 本気で来い!」

虎丸「じゃあ今度は、必ず決めます!」


虎丸はその場を下がり、豪炎寺に代わった。
豪炎寺の足元にボールが転がってくる。


豪炎寺「行くぞっ!」

円堂「ああ、来い!」


秋「次の試合に向けて、みんな気が入ってるわね…!」

春奈「特に豪炎寺さんなんて、怖いくらいに気迫が入ってます!」

零「てゆーか、ほんとに力み過ぎじゃねぇ?」

春奈「え?」


他人事のように軽く笑いながら言う零。
カメラを構えている春奈は豪炎寺をズームアップする。

豪炎寺はボールを高く上げた。


豪炎寺「爆熱スクリュー!!」

円堂「正義の鉄拳!!」


豪炎寺のシュートもゴール成らず。
ボールは弾かれた。


円堂「どうした豪炎寺!! 今のシュート、いつもの豪炎寺らしくないぜ!!」

豪炎寺「っ……、俺らしくない、か……」


豪炎寺はぽつりと呟き、場所を代わった。


円堂「次! さぁ来い!!」


零「…ね?」

春奈「……」


マネージャー達は不安げな視線を豪炎寺に送った。

グラウンド横の上の方で、鬼道が響木に歩み寄る。


鬼道「響木監督。」

響木「ん?」

鬼道「…質問があります。」


鬼道はエリア外で練習を見ている久遠を見下ろす。


鬼道「久遠監督の指導力はよく分かりました。…ですが、監督ではなく、コーチとして迎えても良かったはずです。」

響木「……」


響木は俯く。


鬼道「響木監督が退いたのには、他に何かわけがあるんじゃないですか…?」

響木「…いや、彼が相応しかったからだ。それに、俺には他に大事な仕事がある。」

鬼道「……他に…?」


鬼道のゴーグルが光る。


響木「俺の役目は、久遠や零をサポートすることだ。試合はピッチの上でだけ行われるものではない。それはお前も知っているはずだ。」


そう言って、響木は鬼道の前を去った。


鬼道「………」


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(抜かし・CM)


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