二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第80話「最後の試合」 ( No.53 )
日時: 2013/04/17 16:33
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)




円堂「風丸ー!」


風丸にボールが渡り、ヒロトが奪いに行く。
風丸はヒロトをかわして木暮へ。木暮はヘッドで飛鷹にパス。カットしようと試みていた緑川はあっと声を上げる。
飛鷹はミスすることなくボールを受けドリブルであがっていく。


春奈「飛鷹さん、確実に上手くなってきてますよね!」

目金「ま、少しは期待できるようになってきたんじゃないですか?」


栗松が飛鷹を止めに来る。


栗松「行かせないでやんす!」

飛鷹「! …」


背後の虎丸にパスする飛鷹。栗松は狙いを虎丸に変えて走り出した。
飛鷹は櫛を取り出し髪を整える。


春・目「……;」


土方がドリブルであがる。


土方「吹雪ぃ!」


前にいる吹雪にボールを蹴り、吹雪はそれに合わせて跳んでシュートを撃つ。
円堂はギリギリのところで弾き、ボールはゴールを反れた。


吹雪「くっ…」

土方「まだ駄目か…;」


今度は立向居サイド。
あがる豪炎寺と、その後ろでシュート態勢に入っている虎丸。


虎丸「タイガードライブ!!」

豪炎寺「……」


豪炎寺は放たれたボールを見ながら、今朝の父とのやり取りを思い出す。


豪炎寺「(みんなは…必ず俺が世界に送り出す!)
爆熱ストーム!!」

立向居「あっ…」


ボールはゴールの上の方を通り、シュートは決まらなかった。


虎丸「惜っしい… !」


虎丸は豪炎寺の異変に気付き、歩み寄る。


虎丸「…豪炎寺さん…」


豪炎寺はいつも以上に息が上がっていた。


豪炎寺「………」


.


(OP・抜かし)



立向居「この字は…!!」

栗松「キャプテンの特訓ノートと同じ字でやんす…!!」

冬花「!!」


紙には短い文で何かが書いてあった。
2人の言葉に大きく反応する冬花。


冬花「……(零「冬花さん。」!」

零「どうかしました?」


自分を覗き込む笑顔の零にハッとし、落ち着きを取り戻す。


冬花「あ…何でもないです。ちょっとボーっとしちゃって…」

零「…そうすか。」


若干疑問を残しつつも納得した零に冬花は笑顔を作った。


鬼道「ということは…この手紙は、大介さんから…」

風丸「でも、円堂のおじいさんは、もうずっと昔に亡くなって…」

円堂「……」

秋「、何て書いてあるの?」


動揺する円堂。秋はとりあえず、手紙の内容を訊く。


円堂「…『頂上で待ってる』って…」

秋「頂上…」

春奈「…それって、フットボールフロンティアインターナショナルの、ってことですか…?」

鬼道「世界大会に参加するどこかのチームに、大介さんが関わっている、ということか…」

風丸「でも…!」

目金「罠かもしれませんね。」

「「「罠!?」」」


目金が眼鏡を光らせて話し始める。


目金「どこかのチームが、円堂くんを動揺させるため、わざとおじいさんの字を真似て…(立向居「それはないです!」!」


立向居は怒ったように目金の話を遮った。


立向居「俺、ノートは何度も見せて貰ってますから、これは絶対…円堂さんのおじいさんの字です!!」

円堂「!」


立向居の言葉に円堂はハッとし、再び手紙に目をやる。


目金「た、立向居くん! じゃあ聞きますけどね、死んだ人がどーやって手紙を出すって言うんですか! 天国に郵便局があるって言うんですか!?」

立向居「そ、それは…」


言い合いを続け、睨み合う立向居と目金を留める一同。


零「まぁまぁ落ち着いて目金さん。…忘れたんですか? 立向居の観察力を。」


零は一触即発の2人の間に悠々と歩み寄り、得意気に話し出した。


零「立向居は、テレビで見たゴッドハンドやマジン・ザ・ハンドを、自分でモノにするほど、観察力に長けている。」

目金「でも…(零「それにあの事件…」


目金は納得いかなさそうに反論しようとするも、零に遮られる。


零「…遺体が見つかっていないんですよねぇ、大介さんの。」

「「「!」」」

零「それでも、信じる余地はないっていうんすか?」


円堂「……」

秋「円堂くん……」


騒動を全く気に掛けず、円堂は手紙の文字を見つめる。秋はそれを心配そうに見ていた。
少し考え、円堂は頷く。


円堂「ま、考えても仕方ないか。」

「「「…?」」」


騒いでいたメンバーは目を丸くして円堂を見る。


円堂「もしこの手紙が何かの間違いなら、それはそれだけのことだし、本物なら、FFI世界大会へ行けば、会えるってことだしさ!」

冬花「…」
円堂「それより特訓だ!! 今は決勝戦のことだけ考えようぜ!」


グラウンドへ走っていく円堂を、冬花は不安げに見ていた。


.


ドリブルであがるヒロトを鬼道が止めにいく。鬼道に気付いたヒロトは緑川にパス。緑川はパスを受けるとすぐにあがっていった。
その様子を眺めるでもなく、ただ俯いている円堂。


『遺体が見つかってないんですよねぇ…』


零の言葉が頭を過ぎる。


円堂「(じいちゃん、本当は生きていて…どっかで俺のこと見てるのか…?)」


.


(ちょっと抜かし)



響木「…はっきりするまで、言いたくはなかったんだが…」

円堂「…! それじゃあ、やっぱりじいちゃんは…!」

響木「まだそうと決まったわけじゃない。」


早まる円堂に否定の念を押す響木。


響木「…大介さんらしき人がいると、噂を聞いていてな。…軽く調べを入れて貰っているだけだ。」

円堂「……そうですか。」

響木「ま、いずれ分かることだ。それより今は決勝戦に集中しろ。」


.


(抜かし)


.


.


.


翌日・練習——


豪炎寺「爆熱ストーム!!」


豪炎寺はシュートを撃つも、ゴールから大きく逸れてしまう。


虎丸「っ…(豪炎寺「虎丸!」!」

豪炎寺「何度言ったら分かるんだ! 蹴る瞬間に力が抜けているぞ!」

虎丸「すみません…!」

豪炎寺「もう一度だ。」


豪炎寺は冷たく虎丸をあしらい、シュート時の位置に戻った。


春奈「…何だか今日の豪炎寺さん、怖いです…」

秋「うん…」

冬花「…」

零「……」


心配そうに豪炎寺を見るマネージャーを他所に、零は頭の後ろで腕を組んで目を伏せて笑んでいる。

(席順:零|冬花|秋|春奈)



(抜かし・CM)


.


続き ( No.54 )
日時: 2013/04/17 16:36
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)




翌朝・食堂——


綱海「壁山っ!」


綱海が壁山の背中を叩く。


綱海「今日も気合い入れて行こうぜっ!」

壁山「は、はいっす…」


2人の様子を和やかにみているメンバー。


零「おーい、皆さーん。」


目を伏せて笑んでいる零が階段を降りてくる。
みんなはそちらを向いた。


零「決勝の相手、決まりましたよー。」

豪炎寺「!」


豪炎寺は真っ先に反応する。


土方「そういえば、今日は韓国とサウジアラビアの準決勝の日だな…」

風丸「で、どっちが勝ったんだ? 韓国か、サウジアラビアか…」


零は笑んだまま少し間をおき、フッと息を吐いて口を開く。


零「韓国。…しかも、4−0の完勝で。」


至極面白げに話す零と、結果に驚くメンバー。


鬼道「…そうか、韓国か。」

秋「さすがは優勝候補ね…!」

綱海「相手にとって不足はねぇぜ!」


鬼道と秋は納得するように笑いながら言う。
豪炎寺は少し俯き、円堂はそれを見ていた。


円堂「……(風丸「円堂。」!」


風丸に呼ばれ振り向くと、メンバーが揃って円堂の前にいた。
円堂はハッとし、自分に平手打ちして笑みを作る。


円堂「ああ! そうと決まれば、みんな、早速必殺技の特訓だ!!」

久遠「その必要はない。」

円堂「えっ…」


やる気を出したメンバーを久遠が遮る。
久遠は冷たい目で円堂達を見下ろしていた。


秋「監督…」


.


久遠「決勝戦までの3日間は、ここで練習して貰う。」


久遠が案内したのは、グラウンドに作られた沼。
栗松が指を浸けて確認する。


栗松「これは…泥でやんす。」

「「「えええーっ!!?」」」


泥沼はグラウンド中に広がる巨大なものだったため、メンバーは大きな声をあげて驚く。


鬼道「どういうことですか。こんな泥の中で練習しろなんて…」

風丸「それより、必殺技の特訓をすべきじゃないですか? 吹雪達の連携必殺技だって、もう少しで完成するんです。」


吹雪と土方は賛同するように頷く。


久遠「必殺技の特訓は必要ない。」

円堂「でも、監督…」

久遠「お前達は言われた通りにしていればいい。」


久遠は目を細めて厳しく言う。
圧倒されるメンバー。


久遠「何をしている。早くしろ!」


泥に竦んで誰も入ろうとしない。


栗松「本当に、こんなところで練習するでやんすか…?;」


栗松・木暮・立向居は顔を見合わせる。


零「使ってくれないんすか? せっかく一晩かけて作ったのにー。」


相変わらずの笑顔、ではなく、見世物を前に楽しんでいるようにしか見えない零。
すると、ボールを持った豪炎寺が集団の中から出てきた。


栗・木・立「!;」


豪炎寺は戸惑うことなく泥に足を沈める。


春奈「豪炎寺さん…」


少し進むと足を止め、ボールを泥に浮かせた。
放った飛沫がユニホームに掛かったが、気にせずにボールを蹴り始めた。
零はくすりと満足気に笑う。

1人でボールを蹴る豪炎寺を呆気にとられて見ているメンバー。


円堂「(豪炎寺…)」


円堂は豪炎寺の切羽詰った表情を見て決意し、泥に駆ける。


秋「円堂くん!」


円堂は勢いよく泥に入った。


円堂「豪炎寺。」

豪炎寺「…?」


豪炎寺は足を止めて泥に入った円堂を見る。
表情を見るとすぐに察し、ボールをパスした。

ボールが泥に当たった衝撃で円堂のユニホームも汚れる。


豪炎寺「円堂!」

円堂「!」


円堂が泥の感覚に不快感を感じている間に、豪炎寺は前線へあがり始める。


円堂「(1番辛いのは、サッカーが出来なくなる豪炎寺自身だ…。その豪炎寺が今、全てをかけて決勝戦に挑もうとしている…。俺は…)」


円堂は汚れたユニホームをギュッと掴む。


円堂「(俺は…!!)
豪炎寺!」


豪炎寺にパスを出し、自分も豪炎寺を追って走る円堂。


冬花「……マモルくん…」


マネージャー達は心配そうに2人を見ている。


風丸「鬼道!」

鬼道「ああ。俺達も行くぞ!」

「「「おう!!」」」


飛鷹が少し躊躇する。


零「ほら、飛鷹さんも。」

飛鷹「う、うっす!;」


零に言われ遅れながらも泥へ入った。


.


(泥の特訓)


.


続き ( No.55 )
日時: 2013/04/17 16:37
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)




塔子「へぇ…案外上手くなってるじゃないか…!」


緑川「おわあっ!!」


言った傍からこける緑川。


秋「やっちゃった…」

零「まだまだだね。」


零は可笑しそうに緑川を見ていた。

壁山が綱海にパスする。


壁山「あっ…」


が、ボールは全然違うところへ飛ぶ。


綱海「おいおい…うわっ!」


顔に泥がかかり、口に入ったのかペッペッと泥を吐く綱海。


綱海「壁山ぁ、だから泥に落ちねぇようにパスしろって言ってんだろ!?」

壁山「す、すみませんっす…;」


リカ「ホンマにこんな練習…意味あんねんか?」

零「あるからやってんすよ。」


(席順:零|春奈|秋|冬花| リカ|塔子)



(抜かし)


.


翌日——


キャラバン前に、久遠と冬花以外のメンバーが集合している。


春奈「監督と冬花さんは…」

零「先にスタジアムへ行ってるってさ。とりあえず今の状況での保護者は僕と古株さんだから、絶対に、問題は起こしてくれるなよ?」


“絶対に”を強調して言う零。


木暮「あんたが1番起こしそうだけどね。ウッシッ——!!;」


零は隅でいつものように毒を吐く木暮に向かってボールペンを投げた。
ボールペンは木暮の頬の擦れ擦れのところを通って、煙を出しながら正門の壁に刺さった。


木暮「……;」


円堂「…; これで揃ったな?」


円堂は空気を改めて確認する。


円堂「じゃあ出発だ!」


.


(席順:
豪|土|虎| 通 |円|立|空席|
秋|春|目| 路 |零|吹|鬼)


秋「勝てば、FFI世界大会へ行けるのね!」

円堂「ああ!」

零「“勝てば”、っすけどね。」

春奈「…;」

秋「零くん、シートベルト締めなきゃ駄目じゃない;」


円堂の席に身を乗り出し、小馬鹿にするように言う零に春奈が苦笑する。
円堂も笑っていたが、ふと隣の列の豪炎寺に目をやる。
豪炎寺は窓枠に肘を突き、思い詰めたような表情だった。


円堂「……」


真剣な顔になる円堂。零はそれに気付く。


円堂「…零「円堂さん。」!」


円堂は零の方を見る。


零「…勝ちましょうね。」

円堂「! …ああ!」


零はいつもとは違う少し優しげな笑顔で言った。


——キキーーーッ!!


円堂「おぅわああっ!!;」


キャラバンが急ブレーキを掛け、メンバーは体制を崩す。——零はぴくりとも動いていないが。

零は運転席へと席を立つ。


零「どうかしたんすか?」

古株「……;」


古株は震えながら外を指差す。
零は古株の視線を辿った。


零「ん? ……」


外にはデコチャリに乗って待ち構えていた唐須とその仲間達がいた。

キャラバンの前の方にメンバーが集まる。


円堂「あいつらは…!」


唐須達は薄気味悪く笑っている。


「「「………」」」

飛鷹「………っ」


.


(ED)


.


次回予告 ( No.56 )
日時: 2013/04/17 16:38
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)




アジア予選決勝、相手は韓国代表ファイアードラゴンだ。

相手にとって不足はない!

でもその前に、デコチャリ軍団を蹴散らそうぜ、飛鷹!



次回イナズマイレブン、

「アジア最強!ファイアードラゴン!!」

これが超次元サッカーだ!!


イナズマイレブン、今日の格言!

「やっぱり俺は行く!誰がなんと言おうと!!」

以上!!