二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 続き ( No.54 )
- 日時: 2013/04/17 16:36
- 名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)
翌朝・食堂——
綱海「壁山っ!」
綱海が壁山の背中を叩く。
綱海「今日も気合い入れて行こうぜっ!」
壁山「は、はいっす…」
2人の様子を和やかにみているメンバー。
零「おーい、皆さーん。」
目を伏せて笑んでいる零が階段を降りてくる。
みんなはそちらを向いた。
零「決勝の相手、決まりましたよー。」
豪炎寺「!」
豪炎寺は真っ先に反応する。
土方「そういえば、今日は韓国とサウジアラビアの準決勝の日だな…」
風丸「で、どっちが勝ったんだ? 韓国か、サウジアラビアか…」
零は笑んだまま少し間をおき、フッと息を吐いて口を開く。
零「韓国。…しかも、4−0の完勝で。」
至極面白げに話す零と、結果に驚くメンバー。
鬼道「…そうか、韓国か。」
秋「さすがは優勝候補ね…!」
綱海「相手にとって不足はねぇぜ!」
鬼道と秋は納得するように笑いながら言う。
豪炎寺は少し俯き、円堂はそれを見ていた。
円堂「……(風丸「円堂。」!」
風丸に呼ばれ振り向くと、メンバーが揃って円堂の前にいた。
円堂はハッとし、自分に平手打ちして笑みを作る。
円堂「ああ! そうと決まれば、みんな、早速必殺技の特訓だ!!」
久遠「その必要はない。」
円堂「えっ…」
やる気を出したメンバーを久遠が遮る。
久遠は冷たい目で円堂達を見下ろしていた。
秋「監督…」
.
久遠「決勝戦までの3日間は、ここで練習して貰う。」
久遠が案内したのは、グラウンドに作られた沼。
栗松が指を浸けて確認する。
栗松「これは…泥でやんす。」
「「「えええーっ!!?」」」
泥沼はグラウンド中に広がる巨大なものだったため、メンバーは大きな声をあげて驚く。
鬼道「どういうことですか。こんな泥の中で練習しろなんて…」
風丸「それより、必殺技の特訓をすべきじゃないですか? 吹雪達の連携必殺技だって、もう少しで完成するんです。」
吹雪と土方は賛同するように頷く。
久遠「必殺技の特訓は必要ない。」
円堂「でも、監督…」
久遠「お前達は言われた通りにしていればいい。」
久遠は目を細めて厳しく言う。
圧倒されるメンバー。
久遠「何をしている。早くしろ!」
泥に竦んで誰も入ろうとしない。
栗松「本当に、こんなところで練習するでやんすか…?;」
栗松・木暮・立向居は顔を見合わせる。
零「使ってくれないんすか? せっかく一晩かけて作ったのにー。」
相変わらずの笑顔、ではなく、見世物を前に楽しんでいるようにしか見えない零。
すると、ボールを持った豪炎寺が集団の中から出てきた。
栗・木・立「!;」
豪炎寺は戸惑うことなく泥に足を沈める。
春奈「豪炎寺さん…」
少し進むと足を止め、ボールを泥に浮かせた。
放った飛沫がユニホームに掛かったが、気にせずにボールを蹴り始めた。
零はくすりと満足気に笑う。
1人でボールを蹴る豪炎寺を呆気にとられて見ているメンバー。
円堂「(豪炎寺…)」
円堂は豪炎寺の切羽詰った表情を見て決意し、泥に駆ける。
秋「円堂くん!」
円堂は勢いよく泥に入った。
円堂「豪炎寺。」
豪炎寺「…?」
豪炎寺は足を止めて泥に入った円堂を見る。
表情を見るとすぐに察し、ボールをパスした。
ボールが泥に当たった衝撃で円堂のユニホームも汚れる。
豪炎寺「円堂!」
円堂「!」
円堂が泥の感覚に不快感を感じている間に、豪炎寺は前線へあがり始める。
円堂「(1番辛いのは、サッカーが出来なくなる豪炎寺自身だ…。その豪炎寺が今、全てをかけて決勝戦に挑もうとしている…。俺は…)」
円堂は汚れたユニホームをギュッと掴む。
円堂「(俺は…!!)
豪炎寺!」
豪炎寺にパスを出し、自分も豪炎寺を追って走る円堂。
冬花「……マモルくん…」
マネージャー達は心配そうに2人を見ている。
風丸「鬼道!」
鬼道「ああ。俺達も行くぞ!」
「「「おう!!」」」
飛鷹が少し躊躇する。
零「ほら、飛鷹さんも。」
飛鷹「う、うっす!;」
零に言われ遅れながらも泥へ入った。
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(泥の特訓)
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