二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 学園日和 ( No.13 )
日時: 2012/04/06 21:08
名前: あさぎ組 (ID: YTT42QuR)

第十一幕 その続き (もも風)


ヒュ「太子くーん」

向こうからヒュースケンが走ってきた。

太「あっヒュースケン!ハリスさんの方は大丈夫か?」
ヒュ「はい…一応。それより太子くん!そろそろトーチが始まるので司会、お願いしますよ」
太「おお!もうそこまで進んだか!」

太子は妹子に「すぐ戻るから待ってろ!!」と言い残し、ヒュースケンと一緒に輪に戻っていった。するとすぐ太子の声が広場に響いた。

太『さて、皆さん!遂にこの時がやってきました!!お次はファイヤートーチです!!』

といい終え、ブツッとマイクの切れる音がした。そして、もの凄い勢いで太子が戻って来た。

太「時間が無い!行くぞ妹子!」

と妹子の腕を掴んだ。

妹「は!?どこへです?」

太子はいたずらにニッと笑った。

太「もっと楽しい所に!」





鬼「…ここは?」
閻「いーでしょ?去年、俺と太子と芭蕉さんが偶然見つけたんだ」

今、鬼男と閻魔が居る場所は、さっきまでいた広場をちょうど上から見下ろせる小高い丘だった。
見下ろせると言っても、辺りは真っ暗なのでキャンプファイヤーの炎しか見えないが。
すると…

太『さて、皆さん!遂にこの時がやってきました!!お次はファイヤートーチです!!』

という、太子の声が聞こえてきた。

鬼「トーチ…」
閻「うん!ここで見るトーチは最高にきれいなんだよ!!だから鬼男くんにも見てもらいたかった」
鬼(この人は…一年間ずっと見てきたけど、本当にかわってないな)

鬼男は初めて閻魔に会った時を思い出した。

鬼(あの時も強引に俳句部部室に引っ張られて、無理やり入らされたっけ…)

そんなことを考えながら、しばらくすると後ろから人の気配がした。

閻・鬼・芭・曽・太・妹「あっ……」

ばったり。
ちょうどピッタリなタイミングで太子、妹子の二人と芭蕉、曽良の二人が茂みから出て来た。

太「おー閻魔、鬼男!やっぱり来てたか!」
閻「当ったり前だよ!来るに決まってんじゃん」
芭「わぁ。今年は皆で見られるね!」

と、以前に来たことがあるメンバーが騒ぎ出した。

妹「あの?どこですかここ…」

妹子が質問。
すると三人は得意気な顔をした。

閻「ここはトーチを見る時の特等席!俺達しか知らない秘密の場所!」
曽「トーチですか?」
太「そう!見てろよ…もうすぐ始まるから!!」

太子が言い終えると同時に広場に小さい火がぽつぽつと点いてきた。
そして、流れる音楽にあわせて、火がゆらゆら揺れる。

妹「わぁ…」

妹子だけじゃない。誰もが声を失った。
真っ暗なので、広場に居る人は全然見えない。なので、トーチの灯りのみがぐるぐる回ったり、移動したり…。
特に激しい動きをする時は言葉では言い表せないくらいきれいだった。

鬼「きれいだ…」
閻「でしょ?これが一番見たかったんだ!」
鬼(………。)


            〜天国組〜(再び)

太「おいっ妹子!あれ見ろ、あれ!!」
妹「は?どれですか?」
芭「曽良くん見て見て!あんなにきれいに…」
曽「さっきから見てます」

しばらく見ている内に皆少しずつテンションが上がってきたようだ。

鬼(…)

鬼男はその様子を隣で見ていた。

閻「かわらない…」
鬼「え?」
閻「このままずっとかわらないといいね。こうやって皆でわいわい楽しくさ…。俺達、学年バラバラだから、このメンバーで居られるのはたった一年しかないし…行事があったこの日が最初で最後なんだって思うと、やっぱ淋しいよね……」
鬼(大王…)

鬼男はしばらく黙っていたが、やがて思い出したかの様に口を開いた。

鬼「無理やり二年の学年行事に割り込んどいて、何言ってんですか」 閻((汗
鬼「でも、そうですよね。このままずっとかわらなければいいのに…」

鬼男の声がさっきよりも小さくなった。何かを祈願するように。

閻「うん。永遠に続くものなんて無い…。だから“今”をしっかり大切にしなきゃいけないんだ…」

鬼男はその言葉を聞いて少し微笑んだ。
そして、はっきりとこう言った。

鬼「……はい。」

閻魔は鬼男が珍しく優しい笑みを浮かばせているので、驚き、そして歯を見せて笑って見せた。
すると、何かを思い出したかの様にふっと表情を変えた。

閻「だから、今回俺達がやったことも、このメンバーでいる“今”を大切にしろってことで…」
鬼「それとこれとはまた別ですよ大王」
閻「うぐっ…。何その笑顔…こわ……」

鬼男はさっきの様な優しい笑みではなく、先の展開を予知しているかの様な満面の笑みを浮かべていた。

鬼「覚悟くらいしておいた方がいいですよ。と、一応忠告はしておきますね」







ファイアートーチも終わり、太子達は丘を下って広場へ戻った。
そして、最後の締めくくりはもちろんあの二人。

太『皆ー!キャンプファイヤー楽しかったかー!?』
閻『この思い出を大切にして、一生忘れないようにしてね!!…それでは』


  『キャンプファイヤー終了!!』


そんなこんなで波乱の二日目は終了。



              明日は三日目。
              林間学校最終日。