二次創作小説(映像)※倉庫ログ

続き ( No.133 )
日時: 2013/03/10 15:35
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)

吉良「私は間違っていた…私にはもう、お前に父さんと呼んで貰える資格などない…」


ボールを拾い、下投げでウルビダに渡した。


ウルビダ「……」

吉良「さぁ撃て。私に向かって撃てウルビダ。」


吉良は両手を広げ、ボールを受ける体勢に。


グラン「父さん!」

吉良「こんなことで、許して貰おうなどとは思っていない。」

ウルビダ「…」

吉良「だが少しでもお前の気が治まるのなら…」

ウルビダ「っ、」

吉良「さぁ、撃て。」

グラン「……」

瞳子「…」

零「…」


ウルビダと吉良はお互い見合う。
吉良は何も言わず、ウルビダは焦ったような表情になり、足を振り翳す。


ウルビダ「ぅぉおおおおおおっ…!!」

円堂「ウルビダ!!」

吉良「……」

ウルビダ「………っ…」


ウルビダは涙目になり、足から崩れ落ちる。


ウルビダ「撃てない……撃てるわけ、ない…! だって…だってあなたは…私にとっても、大切な父さんなんだ…!!」

吉良「……ウルビダ…」


そのまま泣き崩れ、嗚咽を洩らす。
吉良はゆっくりと腕を降ろし、ジェネシス達も涙を浮かべる。


吉良「私は人として恥ずかしい…こんなにも私を思ってくれる子供達を…単なる復讐の道具に…」


吉良は膝を折り、グラウンドにしゃがみ込んだ。


円・零・グラン「……」

瞳子「……」


吉良に、鬼瓦が歩み寄った。


鬼瓦「話して貰えませんか、吉良さん。何故、ジェネシス計画などというものを企てたのか…どこで道を誤ってしまったのか…」


キーブとクィールがウルビダに手を貸して起こしてやる。


鬼瓦「巻き込んでしまったあの子達の為にも…」

吉良「…あなたも知っている通りに、私にはヒロトという息子がいた…」


吉良はぽつりぽつりと話し始めた。


吉良「とてもサッカーの好きな子で、夢はプロの選手になることだった…、…」

零「…でも兄は、サッカー留学に出た海外で、謎の死を遂げました。」


言葉を詰まらせた吉良の代わりに、笑顔の零が話を進める。


.


(ここでの〝ヒロト〟表記は吉良ヒロトになります。ちなみに基山ヒロトは〝基山〟)


ヒロト「はい、お守り。」

零「……」


リュックを背負い、スーツケースを傍らに、家を出ようとしている吉良ヒロト。
吉良ヒロトは、幼い零に黒地に白の模様のサッカーボールのストラップを渡した。


ヒロト「離れちゃうけど、僕は零のことずっと思ってるから…。…ほら、お揃い。」


吉良ヒロトは微笑み、普通の白地に黒模様のサッカーボールのキーホルダーが付いたリュックを見せた。


ヒロト「父さんと瞳子が寂しがらないように、守ってあげてね。」

零「……」

ヒロト「約束だよ。」

零「…!」


そう言って2人は小指を結び、約束した。


.



零「最初で最後のプレゼントは、形見になっちゃいましたがね。」


零は自嘲的な笑みで、いつも持っていた携帯の、黒地に白い五角形のサッカーボールのストラップを、カチャリと音を立てて見遣った。


零「父さんは真相の解明を求めて、何度も警察に掛け合いました。…でも、事件に政府要人が関わっていたらしく、結局、兄は事故死として処理されました。…鬼瓦さんも、ここまでは知ってますよね。」

鬼瓦「ああ、10年も前の担当だがな。」


鬼瓦に確認を入れる零。


吉良「あの時の悔しさは、今でもはっきり覚えている。」

瞳子「……」

吉良「息子に何もしてやれなかった悔しさ…そして、あの喪失感…」


瞳子は吉良に歩み寄る。


吉良「息子を失い、心に大きな穴が開いた私は、生きる気力さえ失っていた…」

瞳子「……」

吉良「そんな時だった…瞳子が私に、親を亡くした子供達の施設——『お日さま園』を進めてくれたのは…」


吉良は過去を思い出しながら話す。


吉良「初めは、娘の頼みと思い作ったお日さま園…子供達の笑顔に、私の心の傷も、癒えていったのだ…」

ジェネシス「……」

吉良「本当にお前達には感謝している…」

グラン「…」
吉良「お前達だけが、私の生き甲斐だった…」

円・グラン「……」


ジェネシス、グランは俯いて悲しそうにする。


吉良「…そして、5年前…隕石の落下。それがエイリア石。エイリア石の分析を始めた私達は、すぐにその恐るべきエナジーに気が付いた。…そして、私はエイリア石の魅力に取り憑かれていった…その素晴らしい力に…
しかし同時に、それまで心の奥底に押し殺していた復讐心が、再び込み上げてきたんだ…」


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瞳子「復讐!? 復讐ってどういうこと!?」

吉良「エイリア石だ…エイリア石さえあれば、私から息子を奪った連中に復讐できる…。…いや、それだけではない…私の思うまま支配出来る…!」

瞳子「……お父さん…」


零「……」


幼い零は心配そうにではなく、ただ2人の会話を影で聞いていた。


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