二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 続き ( No.134 )
- 日時: 2013/02/27 19:17
- 名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)
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吉良「すまない…本当にみんなすまなかった…」
瞳子「…」
吉良「私が、愚かだった…」
零・グラン「……」
グラン「父さん…」
グランは辛そうに言葉を洩らす。
「「「……」」」
鬼道「……監督。」
鬼道がその場の空気を割るようにぽつりと言う。
鬼道「本当にそれだけなんですか?」
瞳子「ぇ…」
鬼道「監督は全て話すと言いました。…でも、まだ何か言っていないことがあるんじゃないですか?」
鬼道は零に目を遣り、瞳子や雷門イレブンもそれに釣られる。
零は視線を感じ取り、ゆっくりと目を開いて鬼道を見据えた。
零「…別にいいっすよ、話したって。もう会うこともないでしょうし。」
瞳子「! …」
瞳子の考えを見抜いたかのように、零は冷笑して言った。
瞳子「……知りたいのなら話すわ。…零は、私達とは血が繋がっていないの。」
「「「!!」」」
驚く雷門イレブン。
吉良親子、零、鬼瓦、ジェネシス達は至って冷静でいる。
瞳子「捨て子だったの。遠征で東京へ行っていた兄が、傷だらけの幼い零を拾ってきた…」
橙色の傘を差した吉良ヒロトが、幼い零に手を差し伸べている。
『捨て子』という単語に、木暮は少し反応していた。
鬼道「……」
瞳子「母親から虐待を受け、何も信じられなかった零の縋る先は兄だった。その兄がいなくなって、零は必死に勉強をし始めたわ。…恐らく、私達の為に。——強くなる為に。
兄との約束を果たすことが、自分に出来る全てだと思って…」
瞳子が話し終えると、一同は沈黙した。
だが当の本人——零だけは呆れたような表情。
零「はいっ。これが、あんたの知りたかった〝全て〟です。」
空気を変えるように手を叩き、ニッコリと笑みを浮かべる零。
零「…何かいいことあった? いつか言いましたよね、『深く知る必要はない』って。空気が濁るだけでしょ、こんな話。」
円・鬼「……」
〝口角をあげているだけ〟の笑みで零は言う。
零「……これからは気をつけたらどうです?」
円堂「零。」
名前を呼ばれ円堂を見る零。
円堂「…話してくれてありがとな。お前のこと知れて、嬉しいよ。」
零「…」
ニコッと笑う円堂に、拍子抜けしたような顔の零。
だがすぐにフッと鼻で笑い、「ほんと、天然っていうか鈍感っていうか…」と呆れた。
研崎「……フッ。」
研崎は吉良達を見下げ、アタッシュケースを持ち出しその場を去った。
円堂「……っ!!」
グラウンドが再び大きく揺れた。
「「「!!」」」
鬼道「何だ…!?」
土門「地震か!?」
零「……っ!」
零は焦ったように吉良の居た場所——先ほど、研崎が立ち去った場所を睨むように見る。
研崎の姿が確認出来ないと、零は落ち着き、笑顔になる。
零「あーあ、逃げられちゃった。」
鬼瓦「!」
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外から見るとよく分かるが、グラウンドだけでなく、建物全体が揺れていた。
理事長の見ているモニターも調子が悪くなる。
雷門「どうした!? 何が起こったんだ!」
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段々と瓦礫が落ちて来る。
響木「いかん! 崩れるぞ!」
秋「みんな、出口へ!」
秋がそう言うと、道を阻むように瓦礫が出口を塞いだ。
土門「出口を…塞がれた…;」
「「「……」」」
絶体絶命と思われたところに、ハイスピードのキャラバンが飛び出してきた。
キャラバンは大胆な停車をし、運転席から古株が顔を出す。
古株「みんな! 早く乗るんだ!」
円堂「古株さん!」
こうしている間にも着々と施設は崩れている。
みんなは雷門ジェネシス関係なく、急いでキャラバンに乗り込んでいった。
グラン「! 父さん!」
円堂「ヒロト!」
最後に響木、円堂、瞳子、零、グランが乗ろうとしたところで、グランは吉良が乗っていないことに気付いた。
グランは吉良に駆け寄る。
吉良「………(グラン「父さん! 逃げるんだ、早く!」
グランは手を差し出すが、吉良は応えない。
グランに続き円堂も来ていた。
吉良「…私のことはいい。」
もう施設は崩壊寸前。
瞳子も駆け寄ろうとしている。
吉良「私は、ここでエイリア石の最後を見届ける…それが、お前達に対するせめてもの償いだ…」
グラン「……」
零「っ!」
入り口に居た零はキャラバンを降り、瞳子を通り過ぎて吉良の元へ駆け寄る。
そのまま有無を言わさず吉良の手を取り、キャラバンへ走った。
零は走りながら言う。
零「死んで楽しようとするな。本当に償いたいんなら、その罪を一生背負って生きて下さい…!」
吉良「…!」
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(CM)
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