二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第64話「激突!雷門vs雷門!!」 ( No.138 )
日時: 2013/02/27 19:47
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)



雷門中に戻ってきた円堂達。
だが学校はいつもの明るさはなく、霧掛かって薄暗かった。


「「「……;」」」


異様な空気に呑まれ、一同は不安そうに校舎を見つめている。
円堂は意を決し、前に進んだ。

すると、霧の中から人影が現れる。
人影は決して遅くはないスピードで、此方へ歩み寄ってくる。


鬼道「あいつは…!」

零「研崎…!」


零は鬼道の言葉を紡ぐように長身痩躯の男——研崎の名を呼んだ。

やがて研崎は一同にだいぶ近付き、姿もはっきりと見えてくる。


研崎「…お待ちしていましたよ、雷門の皆さん。皆さんにはまだ…最後の戦いが残っていますからね。」


いつの間にか研崎の背後にいた、黒いパーカーを着た11人の少年達。
円堂も彼等に気付く。


「「「…?」」」


少年達の中の中心辺りにいた少年が歩み寄ってきた。


円堂「………」

???「……」


少年はフードを取る。


円堂「、! 風丸!?」

零「!」


フードの下は、髪を解き、目つきが鋭くなっている風丸だった。

他のメンバーもフードを取る。


秋「染岡くん!;」

吹雪「嘘…!;」


2人を初めとし、他のメンバーも驚愕の色を浮かべる。


土門「っ、影野、半田!」

壁山「栗松、少林!」


他の少年達もフードを取り、各々の姿を露にしていた。


風丸「…久しぶりだな、円堂。」

円堂「ど、どういうことだよ…;」

研崎「ようやく私の野望を実現する時が来たのです…」

円堂「何!?」


研崎の『野望』という言葉に反応する円堂。


零「粗方、父さんに協力する振りをしている中で、父さんに代わる覇権を握るチャンスを窺ってた、ってところでしょ。」

「「「!!」」」

研崎「フッ、相変わらず勘が鋭くて可愛げのないようで。…」


研崎が風丸に目を遣ると、風丸はパーカーの中から、全体的に紫色をした、エイリア学園が使用していたサッカーボールと似たものを取り出した。


円堂「!!」

鬼道「あのボールは!!」

秋「どうして…風丸くん…!;」


一同は更に驚く。
響木は危険を察知してか、マネージャ−3人を寄らせた。


風丸「再会の挨拶代わりだ。」

円堂「っ、…うわっ!!」


風丸は持っていたボールを足元に落とし、円堂に向かって蹴った。
円堂はボールを受け、堪えるも、弾くことが精一杯だった。


「「「!!」」」

鬼道「円堂!」

一之瀬「円堂!」

円堂「……;」


顔をあげ、風丸を見上げる円堂。
風丸は円堂を見下げて、笑みを浮かべた。


.


(OP)


.


雷門中——


風丸の羽織うパーカーが風に靡く。
その無機質な音が、より一層円堂の不安を駆り立てた。


円堂「…風丸…」


円堂は震える声で風丸を呼ぶ。


風丸「…俺達と勝負しろ。」

円堂「な…! …!」


風丸の首元から、紫色の光が漏れているのに気付く円堂。
風丸はニヤリと笑う。


夏未「あの光は、エイリア石!?」

円堂「何だって!?」

響木「エイリア石は、研究施設と共に破壊されたはずじゃ…(零「施設の破壊こそ、研崎の仕組んだこと…」


一同は零を見る。


零「そう考えれば、辻褄が合います。」

鬼道「そうか! エイリア石を手に入れる為に、吉良星二郎の落ちるさまを窺っていた…」

研崎「そういうことです。」

「「「!!」」」

研崎「旦那様は、エイリア石の本当の価値を分かっていなかったのですよ…何1つね。ですからこの私が正しい使い方を…究極のハイソルジャーを作り上げたのです。」

風丸「フッ。」


研崎は風丸に歩み寄り、風丸の肩に手を置く。


円堂「まさか、風丸達が!?」

研崎「その通り…それが、〝ダークエンペラーズ〟です!」


両腕を振り翳し、自信満々に言う研崎。


春奈「ダーク、エンペラーズ…?;」

響木「貴様…何てことを…」


円堂は信じられないという顔。


研崎「今日は我がハイソルジャーの本当の力を証明しに来たのですよ。彼らが、キミ達雷門イレブンを完膚なきまでに叩きのめします…」

円堂「……;」

風丸「……」


相変わらず笑みを浮かべている風丸。
円堂は拳を握り固めた。


円堂「こんなの嘘だっ!!」

鬼道「円堂!」

秋「円堂くん!」


風丸に駆け寄る円堂。


円堂「お前達は、騙されてるんだろ!? なぁ…風丸!!」


風丸の肩を揺する。
風丸は組んでいた右腕を解き、円堂に握手を求めるように差し出した。


円堂「っ……」


円堂は訳も分からず、風丸の手を握ろうとした。
だが風丸はその手を思い切り振り払う。


円堂「………風丸…」

風丸「俺達は…自分の意思でここにいる。

円堂「……」


風丸は服の中からペンダント——エイリア石を出す。


続き ( No.139 )
日時: 2013/02/27 19:51
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)



風丸「このエイリア石に触れた時、力が漲るのを感じた…。求めていた〝力〟が…」

円堂「求めていた、力…?;」

風丸「…俺は強くなりたかった。強くなりたくても、自分の力では超えられない限界を感じていた…」


過去に、エイリア学園と戦った時の自分を思い出す風丸。


風丸「…でもエイリア石なら、信じられないほどの力を与えてくれたんだ…!!」

「「「…;」」」


風丸はパーカーを投げ捨てる。


風丸「俺のスピードとパワーは桁違いにアップした…! この力を、思う存分に使ってみたいのさ!」

円堂「ちょっと待てよ…エイリア石の力で強くなっても、意味が無いだろ!」

栗松「それは違うでやんす。」


栗松が円堂を遮る。


円堂「栗松…」

栗松「強さにこそ意味があるでやんすよ。」

染岡「俺はこの力が気に入ったぜ…。もう豪炎寺にも吹雪にも負けやしねぇ!」

吹雪「っ染岡くん!」

円堂「…お前等…」

穴戸「俺達は誰にも負けない強さを得たんです。」

松野「エイリア石の力がこんなに素晴らしいなんて思わなかったよ…!」

半田「いつまでも走り続けられる…どんなボールだって捌くことが出来る…!」

少林寺「全身に溢れるこの力を見せてあげますよ!」

影野「俺はもう〝影〟じゃない…遂に存在感を示す時がきたのさ…! ふ、フフフフフ…!」

円堂「どうしちゃったんだよ、みんな…;」


円堂はメンバーの変わり様にただただ驚いていた。


研崎「円堂くん。あなたにももうじき分かりますよ。誰もが取り憑かれる魅力……それがエイリア石…!」

円堂「っ!」


研崎は円堂よりも後ろ、雷門イレブンよりは一歩前に出ている零に目を遣る。


研崎「どうです? お嬢様。我がチームにいらしては。」

「「「!」」」

零「……」


零は特に驚く様子もなく、笑みを浮かべて研崎を見る。


研崎「お嬢様の鋭い感覚とセンスは実に素晴らしい。そんな三流チームには勿体無い…。…聞けば、金さえ払えば〝何でも〟するそうじゃありませんか。ただ私の申すことを聞くのが嫌というのであれえば、依頼でもいい、ダークエンペラーズの監督を務めてはくれませんか?」

「「「!!」」」


周りは更に驚愕するが、それでも零の表情は変わらない。
すると、風丸が口を開いた。


風丸「…それでも納得いかないんなら、〝賭け〟をしないか?」

零「…」


零は研崎から風丸に目を移す。
その表情は笑ってはいるものの、明らかにさっきよりも不機嫌だった。


風丸「俺達ダークエンペラーズと、お前が指揮を取る雷門イレブン。サッカーで俺達が勝ったら、俺達の監督になれ。…だが万が一俺達が負けた場合は、好きにすればいい。」

零「…なるほど。お給料はちゃんと貰えるんですね。」


零は軽く微笑み、風丸に歩み寄る(形的には、円堂の隣に)。
風丸と向かい合う。風丸は何も言わず、手を差し出して握手を求めた。
右手をあげる零。


——パァァンッ!!


「「「!!」」」


乾いた音がその場に響いた。
頬を腫らしている風丸と右手を胸元までの高さにしている零。
零は風丸に平手打ち——俗に言う、ビンタを繰り出した。


「「「………」」」

風丸「………っ!」


俯き、突然のことに目を見開いて驚いている風丸。
だが我を取り戻したように顔を上げて零を睨む。


風丸「零、何を…(零「あ、すいません。」

零「…手が滑っちゃいました。」


零は勝ち誇った、蔑むような目で笑う。
研崎は悔しそうに唇を噛む。


零「見損ないましたよ、風丸さん。いくらメンタル弱くてクソ真面目ですっげー気に食わなくても…」
風丸「……」

零「…芯は通った奴だと思ってたのに。」

風丸「っ…」


灰色の鋭い目で見られ、風丸は怯んだように肩を竦める。
零は目を閉じ、呆れたように笑んだ。


零「…悪いんすけど、お客さんに手を上げちゃったんで…この話はなかったことに出来ます?」

風丸「……そうか。…〝試合を断る〟んだな。」


研崎はさっきとは打って変わってくつりとにやける。


研崎「…試合を断ればどうなるか、お教え致しましょう。」


パーカーを脱いでいる染岡。
染岡の足元には、あの黒いサッカーボール。


研崎「まず手始めに、雷門中を破壊します。」

「「「!!;」」」


続き ( No.140 )
日時: 2013/02/27 20:00
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)



円堂「駄目だ! やめろ染岡!」

研崎「お判りですね? お嬢様方に選択肢は無いんですよ?」

円堂「っ…」


円堂は歯を食いしばり、研崎を睨む。


一之瀬「卑怯な…」

土門「無茶苦茶言いやがって…;」

零「……」


この状況でも全く表情を変えない零。
風丸は至極楽しげに零の選択を待っていた。


風丸「勝てるのか? 俺達に、〝お前なんか〟が。」

零「((プチン」


正式には〝お前の作ったチームなんか〟だが、そこはただの挑発なので触れないでおく。
零は満面の笑みで頬に青筋を浮かべ、そこからは何かが切れたような音がした。


秋「あの、零くん?」

吹雪「零、まさか…」


零「上等じゃねぇっすか。」


秋と吹雪の予想は虚しくも当たり、零は完全に怒っていた。


零「〝たかだか僕みたいなガキが作ったチーム〟で、〝史上最強の究極のハイソルジャーらしいあんた等〟を…二度と僕らと同じ大地を歩けないくらいに叩きのめせばいいんですよね?」


青筋はないが、棘のある言葉で、何か恐ろしいものを感じ取れるような笑顔で言う零。
——乗ってきた。研崎は静かに歓喜し、仰る通り、と礼儀正しく胸に手をあて腰を折った。


風丸「円堂。人間の努力は、限界がある事を教えてやる。」


.


零「すいませんね、僕が勝手に決めちゃって。」


雷門ベンチ、零は全く反省せずに笑顔で雷門イレブンに謝罪する。


零「どうにもあいつの顔であんなこと言われると腹が立ちまして…」

鬼道「いや、どちらにせよ受けることになっていただろう。お前が負い目を感じる必要はない。」


鬼道が励ますが、春奈は少し苦い笑みを浮かべ、夏未はあからさまに呆れていた。

一方、一之瀬と土門はダークエンペラーズの方を見ている。
そして、何かに気付いた。


一之瀬「西垣、あいつがいるなんて…」

土門「……」


『トライペガサス? あれは俺達の…』

『ああ、俺達しか出来なかった技さ。凄い奴だよ!』

『とにかく、一之瀬がまたサッカーに戻ってきてくれて、俺嬉しいよ!』

『うん!』

『ああ、頑張ろうな!』

『あははははっ!』


一之瀬「……;」


自分の幼馴染が敵である事実にショックを受ける一之瀬と土門。


円堂「壁山、それは…」


壁山は手に古い木の板を持っている。


壁山「……みんな、忘れちゃったんすかねぇ…」


『サッカー部』と書かれたプレート。
プレハブ小屋を『サッカー部部室』にする為のものでもあり、サッカー部の絆を繋ぐものでもある。

円堂はこれまでにみんなとやってきた特訓や、戦ってきたことを思い出す。


円堂「…そうだよ。あんなに頑張って、俺達はサッカーを続けてきたんだ…。…だから、エイリア石なんかに潰されるはずがない!」

「「「……」」」

円堂「仲間は、ずっといつまでも仲間なんだ!」

一之瀬「取り戻そう、本当のみんなを!」

豪炎寺「あいつ等は、俺がサッカーを諦めかけたとき傍にいてくれた仲間だ! 今度は俺達が…」

鬼道「ああ!(リカ「ウチも協力するで!」


リカがいつになく真剣な声色で言う。


綱海「俺達も、雷門イレブンだからな!」

吹雪「ああ、勿論だよ!」

立向居「俺もやります!」

木暮「俺だって、雷門イレブンだ!」


新しく入ったメンバーも、気持ちは同じ。それぞれの思いを高め合った。


響木「お前達、準備はいいか。」

円堂「響木監督…」

響木「今回の試合は零が指揮を取る。零、」


響木が零を呼ぶと、零は普段の無気力な目から一変、試合のときの鋭い目つきに変わった。


零「…分かってますよ。今回は負けは許されません。リセットは効かない、一度きりです。」


自分の身がかかっている為か、はたまた本当に真剣なのか、零はやる気モードになっている。


零「相手が相手なだけにやりにくい人もいるかもしれませんが、その相手の為に、…本気でぶつかれ。」

「「「はい!!」」」


零は監督らしく、みんなの士気を上げる。
響木はその様子を穏やかとも厳しくとも取れるような眼差しで見ていた。


.


(抜かし・CM)


.


続き ( No.141 )
日時: 2013/02/27 20:04
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)



(抜かし)



リカ「やられてもうた…;」

目金「3人共吹っ飛ばすなんて…;」

春奈「いえ、まだ1点…1点です!;」

夏未「そうよ、まだ時間はあるわ…;」

秋「大丈夫、円堂くん達なら…!」

響木「……;」


マネージャー達は自分に言い聞かせるように前向きに考える。
だが、秋の手が震えているのを、響木は見ていた。


零「……」


零は表情を全く変えず、試合の流れを頭に叩き込むように見ている。



(抜かし)



染岡「今度は俺が決めるぜ! 、っ!」


染岡は背後からの気配に気付き、振り向く。
吹雪が染岡に向かって全力疾走していた。


[おお!? またしても吹雪がディフェンスに戻っている! 果たして間に合うのか!!]


吹雪「染岡くんは僕が止める! 止めなきゃいけないんだ!!」

染岡「やれるもんならやってみろ!!」


染岡は技を出そうとする。
その間も吹雪は追いつこうと必死で走る。


染岡「ワイバーン… !」

吹雪「っ!;」


染岡がシュートを撃とうとボールに足が触れた瞬間、ギリギリ間に合った吹雪がボールの逆側から蹴り返そうとする。


染岡「てめェ…さっきから俺の邪魔ばっかしやがって!!」

吹雪「染岡くん…僕と風になろうって約束したじゃないか!! 忘れちゃったの!?」

染岡「だから……覚えてねェって言ってんだろォ!!」


エイリア石が強く輝き、染岡を包んだ。


吹雪「!!」


吹雪は染岡に突き飛ばされた。


「「「!」」」


さすがの零も少し反応する。

吹雪のことを全く気にしないかのように、染岡のシュートがゴールに向かう。


立向居「ムゲン・ザ・ハンド!! っがああ!!」


ピーーーッ!


シュートが決まった。



(抜かし・ED)


.

次回予告 ( No.142 )
日時: 2013/01/16 22:47
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)




強い…ダークエンペラーズ。

この戦いは、俺達に一体何を残すのか。

激闘の果てに現れた、魂を揺さぶる必殺技とは…



次回イナズマイレブン、

「友情の究極奥義!」

これが超次元サッカーだ!!



キャプテン、今日の格言!

「仲間は、ずっといつまでも仲間なんだ!」

以上!!