二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第31話「伝説のストライカーを探せ!」 ( No.18 )
日時: 2013/03/13 18:26
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)

もう日は暮れ、辺りはすっかり暗くなっている。


染岡「監督!何で豪炎寺を追い出すんですか!」

瞳子「…“必要無い”。ただそれだけよ。」

染岡「……っ、あのなぁ!!」

鬼道「もう止めろ。」


鬼道は染岡の肩を掴んだ。


鬼道「そんな事をしても、豪炎寺は戻って来ない。」

染岡「っ……(一之瀬「染岡。」!」


2人は一之瀬を見る。


一之瀬「……」

染岡「っ! ………クソッ!」


一之瀬は静かに頷く。
染岡は腹いせに地面を蹴った。


目金「…! 円堂君。」

「「「!」」」


円堂が帰って来た。


一之瀬「円堂、豪炎寺は?」

円堂「……行っちまった。」


ぽつりと言う円堂に、染岡が食って掛かる。


染岡「何で止めなかったんだよ!」

円堂「……彼奴は、絶対、戻って来るよ。」

「「「………」」」


沈黙。
土門が唇を割った。


土門「何だよ、豪炎寺の奴…1人でゲームセットか。(円堂「違う。」

円堂「別れはゲームセットじゃない。出会いのための、キックオフだ!」


円堂は顔を上げて言った。


瞳子「…((pllpllpll ! ((ピッ」


響木からのメールだった。


瞳子「…“北海道、白恋中のエースストライカー・吹雪士郎をチームに引き入れ、戦力アップを計れ。”」

円堂「!」


.


(OP)


.


キャラバンの外では、瞳子と古株が北海道へのルートについて話し合っている。


円堂「…で、その吹雪士郎って誰だ?」

一之瀬「何で響木さんは、其奴をチームに入れろって言うんだ…」


カタカタ———


春奈はパソコンで吹雪士郎の事を調べている。


春奈「! 分かりました!!」


パソコンを持った春奈を中心に、皆集まってくる。


染岡「“熊殺しの吹雪”?」

鬼道「“1試合10点。たった1人で叩き出した”…」

一之瀬「“熊よりデカい”?」

風丸「“ブリザードの吹雪という異名を持つ”…?」

栗松「噂ばっかりでヤンス…」


円堂の頭を夏未が退けた。


夏未「これで吹雪士郎の事が分かったって言えるの?」

春奈「でも、これが限界なんです…画像も公式記録も無くて…(鬼道「何故…」!」

鬼道「フットボールフロンティアには参加しなかったんだろうか…」


鬼道は顎に手を置いて考える。


春奈「さぁ…」

円堂「…よーっし、この目で確かめてやろうぜ!その吹雪って奴の実力を!」


ガラッ———


キャラバンのドアが勢いよく開いた。


一部「!!」

秋「零君!」


ドアの前に立っていたのは零。
零はゆっくりと中に入る。


春奈「何処に行ってたの?」

零「何処でもいいだろ。」


春奈達の脇を通り過ぎ、自分の席に就く零。


風丸「居なかったから驚いたんだぞ?」

零「監督に許可は取ったんだ。僕がどうしようが勝手でしょ。」


零は嘲笑いながら、足を組み、携帯を開いている。


一之瀬「俺達は聞いてなかったけど…;」

零「他人事でしょ? 放っといて下さい。…地球にはこんな言葉がある。“触らぬ神に祟り無し”。何ちゃって。」


愉快そうにケラケラと笑う零。皆はムッとした表情になる。
だが零は無視して春奈に目をやった。


零「音無。吹雪士郎のデータは諦めな。」

春奈「ぇ…」

零「“絶対に”…、出てこないからさ。“闇夜の綿”って言ってねー。」


他人事のように適当に言う零に、皆は無言になる。
円堂が沈黙を破った。


円堂「…零って、よく分かんないな。」

染岡「ケッ、何が他人事だよ。折角皆が心配してやってんのに、ふざけやがって…」

風丸「………」


風丸は困ったような顔をしていた。


.


キャラバンの殆どの者達は寝ている。
起きているのはマネージャー・零・染岡と土門、塔子だ。

秋と春奈はマネジメント、夏未は特に何も。零はパソコンを弄っている。
パソコンの画面には、エイリア学園に破壊された学校の画像が映っている。その画像の中の瓦礫の陰になってる場所にカーソルを移動させ、拡大して見ていた。

土門は周りに迷惑がかからないようにコソッと染岡に話しかけた。


土門「なぁ、伝説のエースストライカー吹雪って、どんな奴だと思う?」

染岡「ウチのエースストライカーは豪炎寺に決まってるだろ!」

土門「あ、あぁ;」


染岡は豪炎寺の席を見つめ、そして瞳子の方を睨んだ。


土門「………」


plllllplll((ピッ


塔子の携帯が鳴った。


塔子「…ああ、スミス?…え。パパが見つかった!?」

「「「!?」」」


その声で雷門イレブンは全員起きた。


.


『謎の宇宙人達に攫われていた、財前総理が、解放され、無事に保護されました。しかしこの数日間、何処に居たのか等の詳細は、明らかになっていません。』


春奈のパソコンの画面を見ている雷門イレブン。
零だけは自分のパソコンで見ていた。


秋「よかったじゃない。」

春奈「お父さんに会えますね!」

塔子「…東京には戻らないよ。」

マネージャー「え?」

塔子「あんな奴等は絶対許せない!」


ジェミニストームとの試合を思い出す。


塔子「…だから、皆と一緒にサッカーで戦う!円堂、一緒に戦おう!」

円堂「…よし、地上最強チームになろうぜ!」


塔子と円堂は拳をぶつけ合った。
マネージャー達は呆れる。


零「…ふぅ。」


零は肘を窓枠に突き、2人を見上げていた。


.

.

.


今度は零以外の者は全員寝ている。
零は1人、暗い中パソコンを点け、何かを調べているらしい。1人でいるにも拘らず、笑顔だった。
そしてそのまま朝になった。


.

.

.


続き ( No.19 )
日時: 2013/03/27 18:01
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)

秋「起きて。」

塔子「…?」


秋は塔子を起こした。
塔子はむっくりと起き上がり、窓の外を見た。


塔子「…!」

秋「お父さんに会わせてやってくれって…円堂君が。」


秋はチラっと円堂を見る。釣られて塔子も。

秋「クスッ…」

塔子「……分かったよ、円堂。」

「起きてたのか。」


不意に後ろから聞こえた声に、2人は肩をびくつかせる。


塔子「…何だ零かぁ…」

零「そんなに驚くか。」

秋「零君も起きてたんだ。」

零「…まぁ。」

塔子「そうだ、零も来なよ。パパも久しぶりに会いたいだろうからさ。」

零「ああ。そうする。」


零・塔子は、総理の待つ国会議事堂へ入っていった。


.


——ガチャッ


ドアが開く。


財前「! …塔子?」

塔子「パパ!!」


塔子と総理は抱き合った。
そして零に気付いた総理に、零は軽く会釈する。


塔子「…パパ、何があったの?」

財前「っ……何も、覚えていないんだ。」


辛そうな表情をする総理。


零「嘘は止めて下さい。どうせ、いつかは話す事なんですから。」

財前「!!」

塔子「…どういう事?」

財前「……やはり、君に嘘は吐けそうにない。」

零「独特の癖があるんですよね、総理は。」


少し小馬鹿にしたような笑みで、総理に言う。


財前「ふぅ…。…分かった、話すよ。」


デスクに手を置き、俯きがちに話し始める。


財前「危険、過ぎるんだ…あれは…;」


デスクに手を付き、自分が見た物を思い出す。


財前「日本を、いや世界をも揺るがす最悪が始まろうとしている…」

塔子「だったら、尚更イナズマキャラバンに参加する!こんな時に守られてるだけなんて嫌だ!」

財前「塔子、お前はまだ(塔子「子供だから何も出来ない事なんて事は無い!!」…」

塔子「円堂達はやろうとしているよ…!エイリア学園を、倒そうとしている…」

財前「! エイリア学園を…」

塔子「零も居るし、大丈夫だから…」

財前「…………」


黙り込む総理に零は言った。


零「僕からもお願いします。…塔子の真っ直ぐな性格は、貴方が一番分かっているでしょう?」


.

(ちょっと抜かし)



財前「私は私で、出来るだけの事をする。だから君達も、力を貸して欲しい。」

円堂「分かりました。あんな連中に負けません!」


総理の手を放し、ペコリと頭を下げる円堂。


財前「それと零君。…少し、話があるんだが…」

零「はい。」

財前「…円堂君達は、席を外してくれるか?」

円堂「あ、はい…」

塔子「パパ、行って来るね。」

財前「…」


円堂は不思議そうな顔をして、塔子は軽く手を振って、キャラバンに乗り込んだ。


.




財前「君はどう思う?今回の件について。」

零「どうって…どう思おうと僕は、頼まれた事しかしませんよ。まぁ出来る限りの事はします。お金さえ払ってくれれば。」

財前「はは。相変わらずだな、君は。」


苦笑する総理。


財前「…私が見た物は、一体何なのか…。君は分かるかい?」

零「………」


零は笑みを崩さず、総理を見た。


.


塔子「ありがと円堂、零。」


キャラバンで、円堂と零にお礼を言う塔子。


円堂「よーっし!出発だぁ!!」


円堂の掛け声と共に、キャラバンは走り出した。


.


ブゥゥゥゥン———


総理「…………」

角巣「どうなさいました?」

総理「いや。自分にもあんな真っ直ぐな時代があったな、と。」

角巣「いえ…総理は今でも真っ直ぐでいらっしゃいます。」

総理「…真っ直ぐで居るのは難しいんだよ…」


総理はくすっと笑い、深刻な表情に戻る。


総理「…頼んだぞ、零君……」


.


賑やかなキャラバンに、1人静かに窓枠に肘を突いている零。
そしてそれをじっと見つめる人物が居た。


春奈「…………」


その視線に気がつく零。


零「…何。」

春奈「!! いや、あ〜ぇっと…;」


目を反らし、必死に誤魔化そうとする春奈に、皆の視線が集まる。


円堂「どうかしたのか?音無。」

春奈「…し、調べたんです、零君の事;」

風丸「それでどうして、そんなに零の事見てたんだ?」

春奈「そ、それはですね〜…;」


春奈は少し溜めてから言う。


春奈「全く出て来ないんですよ、零君のデータが…」

一部「!!」


春奈の言葉に驚く雷門イレブン。春奈は続けて言う。


春奈「情報どころか、名前すら…」

土門「つまりそれって…」

鬼道「完全に不明、と言う訳か。」

春奈「うん…」


雷門イレブンは不思議そうな目で零を見る。


零「…別に深く知る必要なんて無いでしょう。指導者と教え子ってだけの付き合いなんですし。」


くすりと微笑む零。


春奈「そ、そうだね…;」


とりあえず、春奈は笑って誤魔化した。


.


キキーーーッ!


キャラバンは山の中で止まった。


夏未「監督、何で止まったんですか?」


瞳子は立ち上がる。


瞳子「狭いバスに乗ってばかりじゃ、体が鈍るわ。トレーニングをしましょう。」


春奈の方を見る瞳子。


春奈「ぁあ、ぇと…皆さんのためのトレーニングメニューもあります…;」


声が上擦っている春奈。


円堂「ぃやったー!!…ん?」


円堂、塔子以外の雷門イレブンはやる気が無い。


円堂「ぁ、おい、皆!」


円堂はキョロキョロと周りを見渡す。


零「寄ってんじゃねぇよ。」

風丸「仕方無いだろ?円堂が立ってるんだから…;」


零と風丸がこそこそと言い合いを始めた。
零は笑顔のままタメ口で、肘突きをしている。


春奈「……」

瞳子「…いいわ。」


瞳子は春奈の持つボードを掴み、捨てた。


瞳子「だったら、自主トレをして貰うわ。この山の自然を相手に…」


しんとなるキャラバン。初めに染岡が口を開いた。


染岡「監督のメニューよりはマシだろうさ。」

壁山「そ、そうッスね;」

円堂「よーっし…」


円堂は拳を握り締める。


円堂「山だ、自然だ、特訓だーーーっ!!」


.


(CM)


.


続き ( No.20 )
日時: 2013/03/27 18:06
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)



土門「一之瀬、いくぞ!」

一之瀬「おう!」


目隠しをして構える一之瀬に、土門はボールを蹴った。
木にぶつかり、跳ね返るボールの音を聞く一之瀬。
そして自分の方に来た事を耳で察知し、ボールを蹴り返した。


.


壁山と栗松は息を切らしながら坂道を走っている。


壁山「あの監督も冷たいッスよね、豪炎寺さんをあんな簡単に“出て行け”、だなんて…」

栗松「あの零さんって人も、風丸さん達を冷たくあしらって、何だか怖いでヤンス!何か、俺達を見下してる感じで……」

壁山「2人ともおっかないッス!」

栗松「次は、俺達でヤンスかねぇ…」

壁山「ぅええ!やめてくれッス〜!」


急にスピードをあげる壁山に、栗松はオロオロと着いて行った。


.


滝の前に佇む染岡と鬼道。
染岡は滝に向かって思い切りボールを蹴った。


染岡「っ、しゃあっ!! …っ…;」

鬼道「気合入ってるな。」


くすりと鬼道が笑う。
染岡はそれに反応せず、地面を蹴った。


鬼道「…豪炎寺の事が気になっているのか。」

染岡「…お前はいいのか!」

鬼道「よくはない。だが…今はやるしかないんだ!」


鬼道も同じように滝に向かってシュートを打つ。
ボールは滝の上の方までまで上り、水が飛び散った。


.


春奈「はい?」

夏未「さっきのトレーニングメニューを見せてくれないかしら。」

春奈「!! ……駄目です;」

夏未「……」


夏未の態度にか、何か拙い事でもあるのか、春奈はかなり焦っている。
春奈を訝しげな目で見る夏未。


零「監督が自主トレと言ったって彼奴等は従わない。元からメニューがあると言っておけば、監督の指示に従うよりは自主トレの方がマシだと考える。違うか?」


パソコンの画面から目を離さずに零は言った。


春奈「き、気付いてたんだね…;」

零「お前ほど分かり易い奴は初めて見たけどな。」

春奈「…;」


相変わらず毒舌な零に、苦笑する春奈。


秋「ところで、目金君は特訓いいの?」


キャラバン内で何もしていない目金。


目金「ほら、僕はイナズマキャラバンの知性ですから。」

零「どーだか。」


ギシッと、目金が体勢を崩す。
夏未は2人に言った。


夏未「する事が無いんなら2人共、手伝って下さる?」

目金「はい?」

零「………」


.


キャラバンのトランクが機械的な音を出して開く。
中からは新品のキッチンが出てきた。


秋・春「すごーい!」

夏未「フランス料理のフルコースだって作れるわ。…で、何を料理するの?」


秋と春奈は、飯盒を出して見せた。


.


目金「うぅ…冷たぁい;」

米を研ぐ目金達。
目金は水が冷たく、混ぜるのが嫌らしい。


零「男の癖に、ピーピー泣くんじゃないッスよ。」

春奈「わぁ!零君、手際がいいね!」

零「ま、これくらい出来て当然だ。」


零の方に身を乗り出す春奈。
零は得意気に鼻を鳴らす。


春奈「…? 零君、それどうしたの?」


春奈は、零の左手首を見て言った。そこには包帯が巻かれている。


零「………(秋「夏未さん…;」!」

夏未「な、何よ!///;」


零の声は秋によって遮られた。
春奈は不思議そうな顔をしている。

夏未の持っている飯盒の中には、かなり少量の水が。


秋「…予想はしてたけど…;」

夏未「いけないかしら!?///」


顔を真っ赤にしている夏未。


.


火を起こし、米をた炊く。
目金は火吹き竹で火に酸素を送る。


目金「ぅ゛、ゲホッゲホッ…;」

マネージャー「あははは…」


.


夏未「ぅわ〜、何か生きてるみた〜い…」

秋「そろそろかな…」

春奈「皆お腹空かせてるでしょうね〜…」

零「………少し、森の方へ行ってきます。」


零が立ち上がった。


秋「あ。ついでに、もうお昼が出来るから集まってって皆に伝えておいてくれるかな?」

零「りょーかーい。」


振り返らずに手をヒラヒラと振り、零は歩いて行った。


.


続き ( No.21 )
日時: 2013/03/27 18:11
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)



キィィィと音を立て、坂を下っていくボール。
そして、木を避けながら、それを必死に追いかける風丸。


風丸「…
(速く…もっと、速く……;)」


風丸は加速し、ボールを追い越す。
そしてボールを、自分が走ってきた方向へ蹴った。
木に貼ってある目印に命中。


風丸「ハァ、ハァ、ハァ…;
(俺がもっと速くならなきゃいけないんだ…。俺がカットして、チームの誰かに繋げなきゃ…!)」

零「…コントロールはいいんスね、チーム一の俊足君。」


不意に現れた零。


風丸「れ、零…」

零「昼食が出来るって、伝言。」

風丸「はあ…;」

「う〜う〜や〜ほ〜お〜れ〜〜…」

風/零「!?/…?」

「あ〜ああ〜〜…」


棒に掴まり、宙でクルクルと回っている円堂。
それを呆れてみている風丸と、円堂の行動を享受しているかのように笑っている零。


零「…何あれ。」

風丸「俺に聞かれても…;」

塔子「マジン・ザ・ハンドをもっと素早く出すために…」

円堂「回転に〜体を〜慣らしてるんだ〜〜…」


塔子が現れ、説明する。
スタッと着地する円堂。だが足元が覚束ない。


円堂「あはは、もういっちょ〜…」


円堂は棒を掴もうとしたが、中々掴めない。
塔子が手伝ってやった。


円堂「さんきゅー、塔子…」

塔子「よし、あたしも…」

風丸「おい、何も塔子が付き合う事無いだろ;」

塔子「ザ・タワーにも役に立つ!やるぞ円堂!」

円堂「おう!」


2人はまたターザンのように回っていった。


風丸「…これで、勝てるのか…?;」

零「…当のキャプテンがあれなんだ。アンタがそこまで悩む必要は無いと思いますけど?」

風丸「! ぇ…;」



ポツリと言う零。
風丸は零を見るが、零は相変わらず笑っているだけ。


零「昼食の事、他の奴にも伝えといて下さーい。」


零は来た方へ帰っていった。


風丸「あ、おい!」


.


昼食。
たくさんのおにぎりがテーブルに並べられている。


円堂「おーーーっ!いっただっきま〜す!!(夏未「待って。」

夏未「手は洗ったのかしら?」


全員が手を夏未に出した。


夏未「よ、宜しい;」


皆は改めて頂きますと言い、御握りを食べ始めた。


目金「僕も握ったんですよ?いやぁ芸術的な出来映えで…。特に梅の入った御握りに注目して下さい!1つ1つ潰して…ちょ、ちょっと、聞いて下さいよ〜っ!」


秋、春奈は苦笑。


円堂「あむ、んぐんぐ…」


2つのおにぎりを手に持ち、豪快に食べる円堂。


夏未「! …クス//」


零「…ぁむ。」


零は木に寄りかかり、おにぎりを一口口にした。


土門「…あれ、監督は?」

壁山「そう言えば居ないッスねぇ…」

一之瀬「…あ。」


瞳子が歩いて来た。


瞳子「皆、自主トレで汗かいたでしょ。近くにお風呂があるから、すぐに入って来なさい。」

「「「おー!!」」」


.


塔子「…あれ、零は入んないの?」

零「後で1人で入るよ。」

塔子「ふ〜ん…」


.

(抜かし)

.


零「………」


1人キャラバンに寄りかかり、携帯を弄っている零。
やはり薄く笑んでいる。


瞳子「零さん。」


瞳子が歩み寄る。
零は携帯の画面から目を離し、瞳子を見た。


瞳子「…少し、いいかしら。」


.


森の付近に2人は立っていた。


瞳子「…単刀直入に聞くわ。貴方の目的は何。」


真っ直ぐに零を見る瞳子。


零「…フッ。本当にいきなりですね、監督は。相も変わらずド直球な言葉だ。」

瞳子「御託はいいわ。話を反らさないで頂戴。」


零はふぅ、と溜息を吐き、肩を竦ませた。


零「…目的ね。まぁ、監督の思っているような事じゃありません。どっちかと言うと、“監督側”の者だと思います。…それに」


そこで言葉を溜める。


瞳子「それに、何?」

零「…僕は、利益を得られるんならどんな依頼だって受けますよ。たとえそれが、自分の人生に大きく関わっていようと…ね。」


ニッコリと笑い、ゆっくりと目を開く。


瞳子「…そう。」


零はまた元の場所へ戻っていき、瞳子はその場で佇んだ。


.


続き ( No.22 )
日時: 2013/02/24 19:47
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)

皆は風呂からあがり、栗松と壁山は漫才をしている。


栗松「悔しいです!」

壁山「何でやねん!あどでー、ぼくでー…」

栗松「何でやねん!」

「「「あははは…」」」

壁・栗「どうも、ありがとうございましたー。」


ガラッ


零がキャラバンから出てきた。


零「……」

円堂「! 零。今から風呂か?」

零「ええ。」

円堂「暗くなってるから気をつけろよ。」

零「…はい。」


ニカッと笑う円堂。
零は笑ってはいるものの素っ気なく答え、風呂へ歩いて行った。


.


スル——


左側の袖を捲る。


零「…………」


無表情零は軽く目を瞑り、包帯が巻かれている左手首を、強く握り締めた。


.

(抜かし)

.
.
.


円堂「……;」

土門「……;」

壁山「がーっ、ふー…がーっ、ふー…」


円堂は観念しきったようにキャラバンを出た。


円堂「あれ?」


そこには、零が居た。


.


円堂「零は、皆で寝ないのか?」

零「…暑苦しいの、嫌いなんで。」


頭の後ろで手と、足も組み、寝転がっている零。


円堂「; …そっか。」

土門「あれ?」


土門も上がってきた。


円堂「…やっぱ、壁山?」

土門「あぁ;」

零「…はぁ。」


零は何も言わず、屋根から近くにある木に飛び移った。


円堂「…どうかしたか?」

零「人が居ないからそこに居たんです。人が集まってきたから場所を変えた、それだけっすよ。」

円堂「はは;」


2人はキャラバンの屋根に寝転がって話し始めた。
その内に、零は眠っていた。


.
.
.


ピーーーッ!


「「「?」」」


ピーーッピーーッピーーーッ!!


早朝。瞳子の鳴らす笛の音で、雷門イレブン達は起きた。


瞳子「起床!!出発の時間よ!」

零「…ふぁーあ。」


零は瞳子の隣で、眠たそうに欠伸をした。


.


ブゥゥゥゥン———


キャラバンは、北海道に向かって進む。


.


円堂「ひゃっほ〜い!遂に北海道だ!!」


円堂の大きな声で、零のうとうとしていた目が少し開いた。だが再び眠たそうになる。


零「っくしゅん。さっむ…」


くしゃみをし、鼻の赤くなった零。窓際を向き、どこかからアイマスクを取り出し自身に付け眠りだした。
風丸はそれを横目で見る。

風丸「確かに寒いな…」

目金「北海道ですからね…;」

一之瀬「シカゴくらいだね…」


キキーーーッ!


キャラバンは急停止する。


瞳子「っ…どうしたんですか?」

古株「…人だ。」


???「………;」


地蔵の前で震える少年。


円堂「…どうしたんだ?こんなとことで…」


キャラバンから降り、円堂はマフラーの少年に声をかけた。


円堂「乗れよ。」

???「あ、あああありっが、ととと…;」


.


???「………」


少年タオルケットをかかて貰ったが、まだ震えている。


塔子「まだ寒い?」

???「ぁ、ううん、もう平気。」


にっこりと笑いかける少年。


秋「雪原の真ん中で何やってたの?」

???「あそこは僕にとって、思い出の場所なんだ…。…北ヶ峰って言ってね。」

古株「北ヶ峰ェ?聞いた事あるぞ。確か…雪崩が多いんだよなぁ…」


それを聞いた瞬間、少年の表情が暗くなった。


???「…うん。」

古株「ところで坊主、何処まで行くんだ?」


古株がそう聞くと、少年は目を瞑り、微笑みながら言った。


???「蹴り上げられたボールみたいに、只管真っ直ぐに…」

円堂「いいなぁその言い方!“蹴り上げられたボールみたいに真っ直ぐに”か…。なぁ、サッカーやるの?」

???「うん、スキなんだ。」

円堂「俺もサッカー大好きだよ!!」

???「…クス。」


2人は微笑み合った。


ズッドーーーン!


「「「!!?」」」


キャラバンが大きく揺れた。


古株「雪溜まりに、タイヤを取られた…; …ちょっと見てくるわ。」


古株は席を立つ。


???「ダメだよ、ヤマオヤジが来る…」

円堂「ヤマオヤジ?」


円堂が聞き返し、外の異常に目金が気付いた。


目金「…ん?」


窓の外を見る目金。


ドンッ!


窓にへばり付いているのは何か、獣のような手。目金はそのまま気絶。
次の瞬間、キャラバンはもっと激しく揺れた。


「「「!!」」」


外に居るのはどうやら熊。
その熊が、キャラバンを揺らしているらしい。


一部「ぅわぁーーーっ!!;」

マネージャー「きゃーーー!!;」

零「………」

そんな中、暢気に寝続ける零。


風丸「何でお前は寝てられるんだよ!;」

円堂「……!」


揺れが治まる。


春奈「!」

夏未「あれ…彼は…」


円堂達はさっきの少年が居ない事に気付いた。
考えられるのは外のみ。


.


吹き荒れる吹雪に、白いマフラーが靡く。


.


ドッシーーーン!!


「「「!!」」」


キャラバンが宙に浮かぶ。雪溜めから外れた。


鬼道「っ…!」


鬼道は外を見る。


ドサッ——


倒れた熊の後ろに、少年がサッカーボールを持って立っていた。


円堂「…!;」

???「もう出発しても大丈夫ですよ。」


キャラバンに入ってきた少年は無傷。


円堂「…まさか;」

栗松「まさかでヤンス…;」

土門「だよねぇ…;」

一之瀬「…;((コクッ」


古株「おぉ、動く!よし行くぞ!!」


.
.
.

(抜かし・ED)

.


次回予告 ( No.23 )
日時: 2012/04/16 19:42
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)

白恋中サッカー部キャプテン、吹雪士郎。

ニコニコしてばっかりだけど、一体どんなシュートを撃つのか…

その実力、見せてくれ!

雷門イレブンと試合開始だ!!



次回イナズマイレブン、

「雪原のプリンス!」

これが超次元サッカーだ!!



キャプテン、今日の格言!

「別れはゲームセットじゃない。出会いのためのキックオフだ!」

以上!!