二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第35話「イプシロン来襲!」 ( No.36 )
日時: 2013/02/24 15:51
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)

ゴーーーン——


京都の夕方。鐘の音が響いている。
街は人が行き交い、ゆったりとした雰囲気が流れる。

そんな京都に、空から、赤く光るものが降ってきた。


ズッドーーーン!!



「「「!!」」」


落ちた場所は漫遊寺中学。
小さなクレーターが出来てしまった。

クレーターの真ん中にはあの黒いボール。赤く不気味に光っている。

木の上では、10数人の男女——イプシロンがそれを見ていた。


デザーム「愚かな地球の民達よ、思い知るがいい。本当の戦いはこれからだと……フッ。」


.


(OP)


.


雷門イレブンは零を囲んで、コンビニのベンチに座っていた。


円堂「え、イプシロンから襲撃予告!?」

零「ええ。予告先は京都の漫遊寺中。」


零はキーボードを打つ手を休める事無く話す。


風丸「漫遊寺中?聞いた事無いな…」

零「フットボールフロンティアには不参加でしたからねー…。漫遊寺のモットーは、“心と体を鍛える事”。サッカー部も対抗試合はしません。…でも、もしフットボールフロンティアに参加していれば、間違いなく優勝候補の1つだったんでしょーね。」

「「「優勝候補!!?」」」

零「厳しい修行で鍛え上げられた強靭な身体と、研ぎ澄まされた心を持つ漫遊寺のサッカーは、スピード・パワー・何をとっても超一流。こりゃあ、雷門ともいい勝負になるかもしれませんね。」


零はくすりと笑う。


瞳子「イプシロンは、無差別に学校を襲っていたジェミニストームとは違い、隠れた強豪校に照準を定めてきた…。……イプシロンを倒せば、エイリア学園の本当の目的が分かるかもしれない…。すぐ漫遊寺へ向かうわよ!」

「「「はい!!」」」


.

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.


鬼瓦刑事と総理が話している。


鬼瓦「エイリア学園、逃げた影山、黒いサッカーボール…。私には、全てが繋がっているとしか思えないんですがねぇ、総理。……奴等に、何と言われたんです!奴等の本当の目的は、何なんです!!」


声を張り上げる鬼瓦に、総理はきっぱりと答えた。


財前「それは言えない。…“今はまだ”。…ある少女との、約束でね…」

鬼瓦「……そうですか、なら仕方ありません。総理を誘拐した奴等を捕まえて、直接聞くまでです…。では、何れまた。」


鬼瓦は長めのコートを揺らし、部屋を出て行った。
少し間をおいてから総理はネクタイを緩め、一息吐いた。


.

.

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ゴーーーン———


「「「………」」」


漫遊寺中に到着。
…だが当の学校の方は、クレーターの周りを、人が落ちないように囲ってあるだけで、その他はのんびりとしたごく普通の日常風景だ。


風丸「何か、のんびりしてるよな…」

零「見りゃー分かりますよんな事。」

塔子「襲撃予告なんて全く気にしてない感じ…」

円堂「兎に角、サッカー部を探そうぜ!」

吹雪「サッカー部なら奥の道場みたいだよ。」


後ろから聞こえる吹雪の声に、皆振り返る。
そこには吹雪に集っている女子生徒2人。


吹雪「どうもありがとう。」

女「「どういたしまして。」」

吹雪「また何かあったら宜しくね。」

女「はーい!」

「「「…;」」」


当たり前のように女の子に道を聞いている吹雪に、皆呆れた。


零「…円堂さん、僕は遅れていきます。」

円堂「ん?あぁ…」


零は1人、何処かへ歩いて行った。


.


(木暮んとこ抜かし)


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裏庭の方で携帯を扱う零。
誰かに電話しているようだ。


プルルルル、プルルルル、プr((ガチャ


零「…もしもし、零です。」


『おぉお前か。何か用か?』


声からすると、鬼瓦のようだ。


零「…何か動きはありましたか。」


『……奴が、脱獄した。』


零「!」


零は目を一瞬見開き、僅かな反応を見せる。
だがすぐに目を細めて笑った。


『護送車が雪崩に遭った。雪崩は意図的なものだろう。』


零「……ありがとうございます。また何かあったら連絡お願いしますね。」


『ああ。……それと、お前。』


零「何ですか。」


『…財前総理に、何を言ったんだ。』


零「…………。…言えませんよ、まだ。」


ブッ …ツー、ツー、ツー…


零は耳から携帯を放し、半ば強引に電話を切った。


零「………」


.


(抜かし)


.


春奈「…大丈(目金「大丈夫じゃないですよーっ!!」…ですよね;」

目金「グキッていいましたよ、グキッってぇ!!!」

壁山「す、すみませんッス…;」


塔子「何でここだけツルツルしてんだよ…」

零「ワックス、だな。」

「「「ワックス?」」」

円堂「! 零!」


いきなり現れた零に驚く雷門イレブン。
零は床をさすっている。


秋「でも、どうして…」

零「誰かの悪戯…って考えるのが、妥当じゃないスか?」


立ち上がり、雷門イレブンに振り返りながら笑って言う。


???「ウッシッシ、ザマーミロ!フットボールフロンティアで優勝したからっていい気になって!」


草陰から『つるピカール』と書いてある、ワックスらしきものを持った少年が現れた。


塔子「〜〜〜っ、お前、よくもやったな!?」


少年は逃げるフリをした。
塔子はそれを追いかけようと手すりに足をかける。


塔子「待てっ!…おわぁっ!!」


ドスッッ———


塔子「…オヘッ、ゲホッ…;」

???「ウッシッシッシッシ!引っかかってやんのーほーれ、ほーれほーれ!」


風丸「何なんだ彼奴…;」

零「…ょっと。」


手すりを飛び越え、零は2人の元へ行く。
塔子を挑発する少年と、既に切れ気味の塔子。そこに零が割って入る。


零「おいお前。駄目だろ、こんな事しちゃ。」


零は可笑しそうに笑って少年を掴み、持ち上げた。


???「んだよお前!っていうか持ち上げるな!はーなーせーっ!」


ゲシッ


零「っ…」


零は脇腹を少年に蹴られるも、薄笑いは崩さなかった。が、手を放してしまう。少年は何処かに隠れ、既に見えなくなっていた。
頭を掻き、少年の逃げた先を見ている零。


零「いってー。……ほら。」


零は塔子に向き右手を差し出した。


塔子「あ、ありがと!…蹴られたとこ大丈夫?」

零「大丈夫じゃない。」


塔子は零の右手を取り、引き上げて貰う。


「木暮ーっ!」

「「「?」」」


男の声が聞こえる。
少ししたら、背丈の高い男子生徒がサッカーボールを持って現れた。


続き ( No.37 )
日時: 2013/03/28 16:42
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)

垣田「全く…しょうがない奴だ。ちょっと目を離したらすぐにサボって…はぁ…。……!」


泥だらけの塔子を見、何かを察した。


垣田「っ、大丈夫ですか?」

塔子「あ、大丈夫大丈夫!これくらい…」

垣田「…。……」


左の掌に右手の拳を当て、頭を下げる男。


垣田「…申し訳御座いませんでした。ウチの部員が、とんでも無い事を致しまして…」


雷門一同にも頭を下げる。


円堂「“ウチの部員”?」

一之瀬「て事は、彼奴…」

塔子「……?」


垣田の足元にあるサッカーボールに目をやる塔子。


「「「サッカー部!?」」」

染岡「彼奴がかよ!」

垣田「ええ。木暮というのですが、それが、困った奴でして……。周りを全て敵だと思っているというか…」

秋「敵?」

垣田「えぇ。」


.


(抜かし)


.


移動中———


春奈「………!」


春奈は、掃除をしている木暮に気が付いた。木暮は雑巾を蹴り上げ、天井の掃除をしている。
雑巾は天井を滑り、落ちてきては木暮がまた蹴り上げ、天上を滑っていた。


春奈「………(夏未「音無さん!」! はい!」


夏未に呼ばれ、春奈はすぐに駆けて行った。


瞳子「………」

零「…」


木暮をじっと見ている瞳子。
そんな瞳子を零は笑んだままチラリと見て、自分も道場に向かった。


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道場。正座をする漫遊寺中サッカー部と、雷門イレブン。
立って壁に寄りかかっているのは零だけだ。


影田「成程、お話はよく分かりました。」

円堂「それじゃあ、俺達と一緒に戦ってくれるんだな?」

影田「…いいえ。」

「「「!?」」」

影田「私達は…戦うつもりは有りません。」

風丸「戦うつもりが無い…?」

影田「はい。私達がサッカーをしているのは、あくまで心と体を鍛えるため。争うためではないので、彼等には、私達に戦う意思の無い事を話して、お引取り頂きます。」

円堂「お引取り…?」

染岡「っ、お、オイ!お前等話聞いてたのかよ!」


染岡は立ち上がった。


染岡「そんな話が通じる相手じゃねぇって言ってんだろ!!」

零「…五月蝿いな。」


今まで黙っていた零が口を開いた。
皆、零を見る。


染岡「何ィ!?」

零「すいません影田さん、騒がしくしちまって。アンタ達の言い分はよく分かったので、これ以上の無理強いはしません。僕は戻ります。」


零は会釈代わりに微笑み、道場から出て行こうと、凭れていた壁から離れた。


染岡「おいちょっと待て!」

零「……」


零は相変わらず薄ら笑ったまま、立ち止まって振り返り、染岡を見る。


染岡「っ……」

零「…もしかして返す言葉を考えてなかったけど、とりあえず声掛けてみたんですか?」

染岡「う、煩ぇ!お前、意味分かんねえんだよ!」

零「分からなくて結構ですよ。アンタに言ったわけじゃないですし。」


相変わらず気味の悪い笑みを浮かべたまま、零は道場から出て行った。
漫遊寺中サッカー部も立ち上がる。


影田「では我々も、これで失礼します。修行の時間ですので。」

円堂「あ、おい…;ちょっと待てよ!」


バタン


「「「………」」」


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(ちょと抜かし)


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風丸「…どうする。」

染岡「どうするって言われても、漫遊寺があれじゃあな。おまけに副監督もあんなだし…」


明らかにイライラしている染岡。


塔子「何なんだろうな、零ってば…。…よく分かんないよ…」

円堂「………考えても仕方ないさ!俺達は俺達で、今出来る事をするだけだ。」

一之瀬「出来る事…?」

風丸「特訓だな。」

円堂「ああ!相手はエイリア学園のファーストランクチーム。こっちももっと特訓して、強くなんないとな!」

「「「ああ!」」」

一之瀬「そうと決まれば、早速練習場所を探そう!(吹雪「練習場所ならあるよ。」


吹雪の声。


吹雪「この向こうに川があって、その河川敷でなら、サッカー出来るって。ね?」

女「「はい!」」

吹雪「また何かあったら宜しくね。」

女「「はーい!」」


「「「……;」」」


.


(ちょっと抜かし)


.


春奈「…………」


外では春奈が座っていた。


鬼道「…眠れないのか?」

春奈「! …お兄ちゃん…」


零「………」


キャラバンの屋根では、起きてはいるが、寝転がっている零。
相変わらず薄く笑みを浮かべている。


鬼道「…ちょっと付いて来い。」


.


(鬼道と春奈が別れた後)


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鬼道「…いつからつけていた。」


振り向かずに言う鬼道。


零「…やっぱり、気付いてましたか。」


木の陰から出てくる零。


鬼道「何のつもりだ。」

零「別に。ちょっと眠れなかったんで、暇潰しに。」


今度は振り返る鬼道。


鬼道「言いたい事があるならハッキリ言え。」

零「おぉ、怖い怖い。」


零は首を竦ませ、やれやれと言うように両手を軽くあげる。


零「…言いたい事、か。うーん…。……2人は、兄妹なんですよね。」

鬼道「…それがどうした。」

零「“兄”って…“妹”をどう思うものなんですか。」


零は微笑を崩さず、鬼道を見る。


鬼道「それは…守りたいとか、大切、じゃないか…普通は…(零「普通じゃなかったら。」!」

零「…どうなんですかね。」

鬼道「………」


鬼道は零の目を見る。
相変わらず笑みを崩さないままで、何を考えているか分からない。


零「…答えられないんいいですよ。じゃ、おやすみなさい鬼道さん。」


零は後ろを向き、鬼道の方は見ずに軽く手を振りながら帰っていく。
鬼道はただそれを見ているだけだった。


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(抜かし・CM)


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続き ( No.38 )
日時: 2012/07/24 20:46
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)

(かなり抜かし)


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影田「………む、無念だ…;((バタッ」


最後に残っていた影田も倒れた。


ピッピーーーッ!!


「「「………」」」


春・木「…;」

染岡「彼奴等、本当に6分で決めやがった;」

一之瀬「これがファーストランクチームの力…!」

栗松「ジェミニストームとは比べ物にならないくらい強いでヤンス…;」

円堂「…;」


イプシロンの強さに圧倒される雷門。


デザーム「…やれ。」


黒いボールを掲げる。


円堂「待て!」

イプシロン「…」


円堂「まだ、試合は終わっちゃいない!俺達が相手だ!」

デザーム「…お前達が?」


デザームは雷門イレブンを見た。


デザーム「…フッ、いいだろう。」


壁山「でも、キャプテン、目金先輩が…;」

円堂「だったら、10人で戦うまでだ!」

栗松「じゅ、10人でぇ!?」

円堂「このまま彼奴等の好きにはさせられないだろ!」

栗松「それはそうでヤンスが…(春奈「11人目なら居ます!」

「「「!」」」


皆春奈の方を見る。


春奈「木暮君が!」

木暮「ぇえ!?」

塔子「こ!」

「「「木暮ぇ!?」」」

瞳子「…」

零「……」


声をそろえて言う。瞳子と零だけは冷静だ。


春奈「木暮君だってサッカー部の一員です!」

染岡「でも補欠だろ!…大丈夫かよ、そんな奴入れて…」

土門「下手にうろちょろされると、かえって邪魔になるし…」

春奈「そんな事無いです!木暮君なら大丈夫です!だからお願いです!お願いします!!」

円堂「………」


円堂は無言で春奈の方へ行った。


春奈「っ、キャプテン!お願いします!!」

円堂「…((ニコッ分かったよ、音無。」

「「「えぇ!?」」」

春奈「キャプテン…!」

円堂「いいですよね、監督。」

瞳子「………」


黙り込む瞳子。


零「…ま、いいんじゃないスか?実力の分からない選手が居ても、面白そうで…」

瞳子「…好きにすればいいわ。」

春奈「ありがとうございます!零君も、ありがとう!!」


春奈は深くお辞儀をし、木暮の方に振り返る。


春奈「さぁ!」

木暮「い、いや…でも、俺…;」


明らかに挙動不審な木暮。


春奈「何怖気づいてんの!皆を見返すチャンスじゃない!」

木暮「…でも……だって…………でも…!;」


木暮はボールで顔を隠す。
汗だくだ。


春奈「……大丈夫よ、木暮君なら…。私、信じてるから!」

木暮「!」


木暮は春奈を見る。


木暮「俺を…“信じてる”…?」

春奈「ええ、信じてるわ。…木暮君なら、きっとやってくれるって。」

木暮「…;」


.


(ED)


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次回予告 ( No.39 )
日時: 2012/04/26 16:29
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)


木暮をDFに迎えて、俺達はイプシロンに挑戦する。

ジェミニストームを遥かに越える、イプシロンのパワー。

だけど激闘の中、木暮が目覚めた!



次回イナズマイレブン、

「かくされた力!」

これが超次元サッカーだ!!



キャプテン、今日の格言!

「俺たちは今できることをするだけだ!」

以上!!