二次創作小説(映像)※倉庫ログ

続き ( No.51 )
日時: 2013/03/10 15:26
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)

「「「女ーーっ!?」」」


雷門イレブンの叫びは河川敷に響いた。


壁山「信じられないッス…零さんが……」

風丸「女…?(零「呼びました?」うわっ!」


急に満面の笑みで隣に現れた零に、数歩仰け反る風丸。


零「………」

「「「………」」」


零はポケットに手を突っ込み、相変わらず怪しくニコニコとして皆を見る。


土門「えっと…いつから居た?」

零「一部始終皆聞いてましたよ。昨日風呂で壁山が石鹸踏んで、滑って転んで浴槽にダイブしたところから。」

風丸「そんな話してないから。」

壁山「何で知ってるんスかァ!?」

一之瀬「まァまァ。…にしても、何で言わなかったの?」


早くも脱線しそうになる皆に収集をつけ、一之瀬は零に話を振った。
零はベンチに座ってパソコンを起動させる。


零「別に隠してたわけじゃありませんよ。聞かれなかったんで。…女で、何か問題でも?」

染岡「何ィ!?」


首を傾げてニコッと笑う零。


零「あーはいはい言わなくてすみませんでしたー」


零は頭を掻きながら染岡の顔も見ずに棒読みで謝る。


染岡「お前な……」

円堂「あれー?皆休憩中か?」


円堂と秋がやってきた。


パン、パン!


手を叩いて自分の方に視線を向けさせる零。


零「練習再開。イプシロン戦は近いんだ、さっさと始めなー」

円堂「よーっし!やるぞ皆!………ん?」

「「「お、おー…」」」

円・秋「?」


.


染岡「ぅおおお…いけぇええ!ワイバーン…」

吹雪「ぅおおお…ブリザード!!」


シュートが決まった。


円堂「おお!レベルアップしてるじゃないか!」

吹雪「見てろよ円堂!…染岡!もう一度だ!!」

染岡「ハァ、ハァ、ハァ……あぁ!俺達もう完璧だぜ!」

円堂「…」

吹雪「ああ…完璧だ!もういっちょ行くぜ!!」

染岡「………っ!」


染岡は一歩踏み出した途端に顔を歪めた。


染岡「……」

零「……」


零は笑んだまま染岡の様子を静かに見ていた。


.


(練習抜かし)


.


「「「………」」」


染岡はベンチに座り、皆はそれを囲んでいる。


円堂「染岡、お前…」

染岡「何だよ、皆大袈裟なんだよ!……っ…」


染岡は立ち上がって見せようとしたが駄目だった。


円堂「無理すんなって!」

染岡「無理なんかしてねェよ。………な、大丈夫だろ?」


ゆっくりと慎重に立ち上がる染岡だが、汗だくで、こめかみがピクピクとしている。


古株「馬鹿もん!」

染岡「! …古株さん」


古株は染岡の怪我した方の脚に触れる。


古株「こんなに腫れてるじゃないか…真・帝国戦の後、ちゃんとケアしなかったな?」

染岡「ホントに、大丈夫ですから…」

零「なーに言ってんですか。ほれ」

染岡「———っ!!」


零は染岡の脚の腫れている部分を枝でつんと突く。


零「…強がっても得なんてありませんぜ?染岡さん」

染岡「……」


鬼道「イプシロン戦は一週間後なんです。それまでに染岡は……」

古株「1週間やそこらで治るもんかィ」

鬼道「っ…」

染岡「治す!!こんな怪我、1週間で治してみせる!!治んなくても、次のイプシロン戦、前半だけでもやらせてくれよ!…折角完璧になったワイバーンブリザードはどうなんだよ!!なァ、吹雪!」

吹雪「ゴメンね、気付けなかった、僕のせいだ…」


吹雪は申し訳無さそうに言った。


風丸「……(瞳子「染岡君」!」


瞳子がやって来た。


瞳子「貴方にはチームを外れて貰います」

円堂「ぇ…監督?そんな、染岡は(風丸「本人がやると言ってるんです!やらせてやってもいいじゃないですか!」…」


風丸は円堂を遮って瞳子に反論する。


風丸「今の俺達に必要なのは、自分の体がどうなろうが勝つという気迫です!」

円堂「風丸…」

風丸「円堂、お前だって分かるだろ…?染岡は、最初から雷門サッカー部を支えてきた、仲間なんだ!(零「仲間だからこそですよ」!」


瞳子に加勢した零を睨む。


零「…傷ってーのは、酷いもんじゃ一生残る。今この時の、たった1戦のために、人生を棒に振る気ですか?」

風丸「っ…」


零は笑顔のまま今までに無いほど風丸を強く睨み、左拳を握り締めながら言う。


零「それにもし試合に出したとしても、染岡さんは無理をする。そうすればチーム全体のリズムが崩れて、勝てる相手にも勝てなくなります。…平たく言えば、染岡さんのせいで」

染岡「!」

零「そして染岡さんは責任を感じ、怪我も悪化。身も心もボロボロってわけです」

風丸「っ、お前! …!」


風丸は零の胸倉を掴もうと手を伸ばす。
が、ハッとし、バツの悪そうな顔をして手を引っ込めた。


ダンッッ!!


染岡はベンチを殴った。