二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第46話「キャプテンの試練!」 ( No.77 )
日時: 2013/03/13 18:39
名前: 世梨果 ◆t4bgREaztQ (ID: ekp2OEpi)

トン、トントトトトン——


壁山「そんな……」


零以外の雷門イレブンの中、ボールが転がり落ちる。


壁山「信じられないッス…」

秋「風丸君が…イナズマキャラバンを降りた…?」

栗松「風丸さん…」

円堂「………」

鬼道「監督。」


瞳子は鬼道を見た。


鬼道「本当なんですか?」

瞳子「ええ。既に東京に戻ったわ。」

秋「どうして止めなかったんですか!?ここまで一緒に戦ってきた仲間なんですよ!?」

瞳子「サッカーへの意欲を無くした人を、引き止めるつもりは無いわ。」

マネージャー「!」

瞳子「私はエイリア学園を倒すためにこのチームの監督になったの。戦力にならなければ、出て行って貰って結構。」

土門「ああそうだったな!!アンタは勝つためなら、どんな事でもする奴だもんな!」


完全に切れている土門。


土門「吹雪が2つの人格に悩んでいるのを知りながら、試合に使い続けるくらいな!!」

円堂「……」

瞳子「…練習を始めなさい。」


冷静に対応する瞳子。


瞳子「空いたポジションをどうするか考えるのよ。」

土門「へいへい!女王様!」


瞳子はその場を去った。


壁山「こんなんじゃ…練習出来っこないッスよ…」

秋「………!」


円堂を見て悲しそうな表情を浮かべる秋。
決心したように皆に振り返る。


秋「…私、風丸君は帰って来るって信じてる!」

春奈「! 私もです!…」

土門「… ! 鬼道…」


鬼道は黙って頷いた。
グラウンドへ歩き始める。


春奈「お兄ちゃん…?」

鬼道「…始めるぞ、練習。」

壁山「でも…」

鬼道「俺達がサッカーをするのは、監督のためじゃない。円堂がいつも言ってるだろう。サッカーが好きだからだ。」

「「「………」」」

鬼道「サッカーを守るためにも、エイリア学園に勝たないとな。」


鬼道はまた歩き始めた。


春奈「お兄ちゃん…」


春奈も付いていく。
それに続いて、円堂と秋以外はグラウンドへ向かった。
栗松は土門に連れられて。


秋「………」


秋は円堂に歩み寄り、ボールを差し出した。


秋「円堂君。」

円堂「………」

秋「!」


円堂は秋の持っているボールを自分から突き放した。


円堂「練習、出来ない…」

雷門イレブン「!」


皆振り返る。


秋「どういう事…?」

円堂「今の俺は、サッカーと真正面から向き合えない…。ボールを蹴る、資格が無いんだ…。だから、」

秋「……」

円堂「それまでボールを預かっておいてくれ…」


円堂は1人で何処かへ向かった。
雷門イレブンは何も言わず、ただ円堂が歩いているのを眺めているだけだった。


鬼道「…彼奴…」

秋「円堂君……」


.


(OP)


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屋上。
円堂は1人で端に座り込んでいた。


円堂「何も…見えてなかった…」


ヒロトの事を思い出す。


『サッカー、やろうよ。』


円堂「(友達だと思っていた……ヒロトが、エイリア学園だったなんて…。…吹雪の事もだ。)」


今までの吹雪を思い出す。


円堂「(俺は吹雪を、ディフェンスも出来るストライカーだと思っていた…試合になるとアツくなって、感じが変わる奴なんだって…!…でも違った。吹雪は1人で、悩んでいたんだ…そんな吹雪に、俺達は無責任に、アツヤの力ばかり求めてしまった…!…吹雪を、お言いつめてしまったんだ…)」


.


病室で眠っている吹雪。
ベッドの傍の椅子には笑顔で目を伏せた零が座っている。


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(円堂の闇堕ち(?)から秋がおにぎりを持ってくるまで)


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夕方、吹雪の病室。


零「……」



零は笑顔のままで足を組んで椅子に座り、携帯を弄っていた。
画面には『発信中』と表示されている。


零「………」


零は早朝の事を思い出す。


.


バッグを肩に提げて俯いている風丸。


風丸「じゃあ…行くな。」

零「さっさと行けよ眠いんだから。」


零はキャラバンに寄りかかり、目を伏せて嘲笑していた。


風丸「……今まで、ゴメン。突っ掛かったり、疑ったり…迷惑かけて。」

零「…(風丸「それと、」


零は目を開けて風丸を見る。


風丸「…ありがとう。」

零「………」


そう言って風丸はその場を離れていく。
零は口端はあげたまま、目をジトリとさせた。


零「…だから嫌いなんだよ。」


零は風丸の後姿を見ている。


零「馬ー鹿。」


.


『切断されました』


画面にそう表示される。
零はパタンと携帯を閉じた。


零「(下んねェ。)」


吹雪に目を落とした。


零「…ゴメンな。」


零は相変わらずの笑顔で目を細め、吹雪の頭を撫でた。


.

.

.


夜。
キャラバンの屋根で栗松は空を眺めていた。


栗松「…風丸さん…!」


.


無表情の零は木に寄り掛かって携帯をいじっている。


零「………(「大丈夫なの?」…」


零は声の方は見ず、画面から目を離して正面を向く。


グラン「あの吹雪って子。」


グランは木の、零とは反対側の方に寄り掛かって話している。


零「…」

グラン「…その様子じゃ、結構大変みたいだね。やっぱり、君には何も守れやしないんだよ。」

零「誰のせいだと思ってんの。」

グラン「君が俺達を裏切らなかったら、少しは違ったかもよ。」

零「そうでなくても、いつかはこうなったんだよ。」


お互い相手を見ようとせず話を続ける。


グラン「そう言えば、あのDFの人も離脱しちゃったんでしょ?」

零「ムカつく奴が居なくなって清々してる。それに僕は関係無いし。」

グラン「…」


グランは目を伏せて微笑んだ。


グラン「弱いね。君は。」

零「勝手に言ってな。」


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(吹雪の葛藤・CM)


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