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　35話 honey

　「円堂くん。私ね、好きな人とこうしていれるのがすっごく幸せ！」
　「俺もだよ。秋」
　円堂と秋、この二人は只愛し合っていた。とめどなく、離れることなど考えていなかった。
　昔から仲良かった二人が、こうしているのは誰もが認めていた。
　それは二人が本気で愛しているということを知っているからであろう。
　でも、失ってしまった。

　円堂はいつも、自分を責め続けていた。
　
　「自分の所為だ。自分がもっとしっかりしていれば——」と。

　そんな円堂を見たくはなかった。

　だが、聞き入れるような素振りは見せない。

　そして、幼馴染である風丸の目の前から消えた。

　「円堂くん！」
　
　と、呼ぶ声が聞こえた。

　あの笑顔をもう一度見たい。

　許せない。秋を返せ。

　許せない許せない許せない許せない。

　「許せない！！！」
　「円堂ッ！？」
　
　いきなり大声を上げた円堂に鬼道が驚く。シ…ンとしている。
　円堂は小さく「すまん」とだけ謝った。
　吹雪は少しだけ笑った。
　「いいよね、ずっとその人だけを想い続けれるなんてさ。僕なんか…」



　　
　「ごめん、雪村」

　
　
　
　
　様々な思いが交錯する—————