二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: イナGO天国から聞こえる〜出逢うべき双子〜イラストが見れます ( No.205 )
日時: 2012/07/30 18:45
名前: 冬ノ華 神ノ音 ◆Ui8SfUmIUc (ID: tjdw0avC)
参照: 神ではないよ。紙だよ。髪だよ。何を言ってるんだい?



36話 emperor

 「ぐっ…ああッ!」
 風丸は闇丸の鋭い攻撃で体を吹っ飛ばされてしまう。遠くにあった壁に背中を強く打ち付ける。
 一瞬、息が止まってしまう。
 遠くなりそうな意識を必死で保ち、立ち上がる。その様を闇丸は蔑んだ目で見ていた。
 「無様だ。友の為に…と思って来たのにも関わらずこの様か」
 「五月蝿い…!」
 苦虫を噛んだような表情で忌々しげに呟く。風丸は心の中で「全くその通りだ」と思った。
 自分は弱い。改めて思った。戦いは長らくやっていないとは言え、体が鈍っているとは言え、あまりにも酷いと自分を情けなく思った。
 大体、自分は戦いに向いていないのだろう。言われた事がある。
 「風丸は優しいから、戦いには向いていない」
 懐かしいな、あの時は必死で藻掻いていた。仲間に追いつこうと必死だった。なのに…!
 どうして、同志たちは居なくなってしまったのだろう。
 自分を捨て、今、何をしているのだろう。
 
 数年前、円堂は風丸の前から消えた。
 それと同時に、鬼道も佐久間も吹雪も消えた。秋は死んだ。
 彼奴等がいなくなったとき、自分はどうすればいいか分からなかった。何故、自分は此処に居るのだろう。幼馴染が、苦しんでいる時何故何も出来なかったのだろう。手を差し伸べれば良かった。何か言ってやれば良かった。
 後悔の念しかなかった。
 自分は道を無くし、生きる意味もなくなった。だから、戦うことをやめ、一応狩人だが本職は何でも屋を営むことにした。
 そうすれば忘れれると思ったからだ。人と関わり、笑っていれば楽だと思った。
 それは間違いと気づいたのはつい最近のことだった。
 「円堂…!」 
 思い出される懐かしい友の顔。
 どうして消えたのか、会いたい。心からそう思う。
 円堂——————!
 ドサッ…と、倒れる。
 風丸はもう動かなかった。成す術もなく、只斬られた。
 ごめん、神童。俺、何にも出来なかった。
 ごめん、こんな奴で。
 役ただずでゴメン。俺弱いから…さ。

 「風丸ゥゥゥゥゥゥッッ!!!!」
 
 声が、声が聞こえる。聞いたことある、力強い声。
 懐かしい声。
 
 「円…堂?」
 
 そう、円堂だった。
 心配そうに顔を覗き込む友。
 「大丈夫か?」
 「円堂…!」
 涙が、涙が溢れて止まらない。頬を濡らし、顔をクシャクシャにする。
 会えた。会えた。

 「俺に任しとけ」
 円堂は立ち上がり、闇丸を見る。闇丸は不敵に笑った。
 
 
 
 
 
 
 
 
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