二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: イナGO天国から聞こえる〜出逢うべき双子〜イラストが見れます ( No.211 )
日時: 2012/07/31 17:22
名前: 冬ノ華 神ノ音 ◆Ui8SfUmIUc (ID: bPDqEDL.)
参照: 神ではないよ。紙だよ。髪だよ。何を言ってるんだい?


 37話 milli

 円堂は、闇丸を一撃で倒した。円堂の剣が闇丸の体を真一文字に斬り、そこからは鮮血が出、服を汚す。血飛沫が飛び、風丸の髪を少し汚した。
 「円堂…ッ」
 「風丸、ごめん」
 短く、伝えたいことだけを只そのままに伝えた。謝った。それはこの数年間の風丸の思いを知ってるからであろう。
 風丸は聞いてはいけないと思いながら、核心に触れてみた。
 「円堂、何をしてたんだ?何で俺の前から…」
 続きを言おうとした瞬間、額に何か冷たいものが少し触れる。それは風丸の体温を奪い、一気にそこから風丸の体を凍らす。
 「なっ…」
 「甘いんだよ、俺は死なない…!」
 闇丸だった。闇丸は氷を操る…以前までは只剣で戦っていたのだが、ついにとうとう、能力を魔法を使ったのだ。
 闇丸は氷で真一文字に斬られた傷を覆い、止血する。
 その目は憎しみで溢れている。円堂は本気で自分たちを殺す気だと思った。さっきまでの殺意とは全く違う、強い殺意。黒いオーラ。
 闇丸の手から血管が浮き出る。目を見開き、円堂に突進する。
 だが、その瞬間、闇丸が消えた。その場から消えた。瞬間移動というものであろうか。
 その瞬間移動を用いり、移動した先は—円堂の後ろだった。
 闇丸の細い足が円堂を蹴散らす。それを避けることも防御することも何も出来なかった。
 円堂は濁い声を漏らし、少し吐血する。崩れそうな体制だったが、空中で体制を戻す。
 円堂は口の先から出た血を拭い、闇丸を見る。
 そして地面を踏み込み、闇丸を再度斬ろうとする。円堂は剣を振るう。だが、それを闇丸は腕で受け止めた。腕からは血は出ていない。
 円堂は下がり、距離を取る。闇丸はこちらの動きを待っているようだ。決して見計らっている訳ではないだろう。
 なら、早く斬ればいい。そう考えた円堂は再度闇丸に斬りかかる。今度は斬れる—そう確信したようだ。
 闇丸は少し嗤った。それは冷たい笑だ。
 手を円堂に向け、詠唱する。
 「ice satan」
 詠唱すると、氷で造形された魔王—satanが後ろで高らかに笑っている…様に見えた。
 その造形された魔王を見た円堂は目を見開く。造形魔法。それは簡単に手に入れれる魔法ではない。
 鍛錬を積み、魔法をマスターした者で無いと出来ない魔法である。
 故に獲得している者は少ない。
 闇丸はパチンっと指を鳴らす。するとその音に反応し、魔王が遠藤に向かってくる。その時確信した。
 ———殺される…!
 魔王の拳が円堂の腹に入る。円堂は倒れ、起き上がれない。
 どう、足掻いても起き上がれない。腹は抉れ、肋骨が折れている。円堂はそれを感じ取った。
 「くっ…クソ…ッ!」
 諦めなければ結果は付いてくる。ずっとそう思っていた。今、気づいた。それは叶わぬことでそう思うのはとても愚かだということに。
 助けるために来たのに、自分が殺されるなんて。なんて笑えるのだろう。
 何故、此処に来たのだろう。何か目的があったのに、それを思い出すことができない。
 助けるため?愚かだ。何もできず、突っ伏している自分が情けない。
 友達を裏切った自分が償おうなんか、百年早いよな。
 ごめん、風丸。
 
 みんなごめん。限界みたいだ。