二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: イナGO天国から聞こえる〜出逢うべき双子〜イラストが見れます ( No.243 )
日時: 2012/08/13 12:08
名前: 冬ノ華 神ノ音 ◆Ui8SfUmIUc (ID: aHnc/Oh6)
参照: 神ではないよ。紙だよ。髪だよ。何を言ってるんだい?


 43話 最後の願い

 「不動……俺はッ、お前がいつか、昔のようにまた仲良くやれると信じていた………もう、無理なのか?」
 傷を押さえながら、ゆっくり立ち上がる。不動は溜息をついて「またそれか……」と呟く。
 「ああ、無理だ。俺はアンタの知ってる俺じゃねぇ」
 「それでも」
 何かを言いかけた鬼道を不動は遮る。「ああ、そーだ」と勝ち誇ったのような笑みを浮かべながら言う。
 「そろそろ、アンタ殺さねぇとレジーナさんに怒られるんだわ。だから、死ね」
 不動は再度剣を構える。それと同時に鬼道も剣を握る。
 「これで最後だァ……鬼道クン」
 「ああ」
 意を決し、鬼道も答える。
 
 
 思えば、昔から不動は俺が嫌いだった。少なくとも憎んでいた。わかる。だが俺はそれを知っていながらも関わった。
 俺が、不動を変えたのではないか。俺が、苦しめたのではないか。
 俺の所為で、春菜も死んだ。
 俺がもっとしっかりしていれば——
 奥歯を噛み締めた。何故、助けれなかっただろうと。知らず知らずの内に俺は人を苦しめている。
 最低だ。人を巻き込み、苦しめるなんて。
 何がしたいんだ。
 
 
 俺の目的は——
 
 
 
 
 「お前を救うことだ不動!!!!!!」
 
 唯一、償えることが出来るなら不動に謝りたい。
 
 
 
 
  
 
 
 

 同時に踏み込み、同時に突きを出す。

 
 分かり合いたかった。でも、それが怖かった。
 
 きっと馬鹿にされると思った。何も出来ない自分が愚かだと思った。
 
 自分が出来ることは壊すことぐらいだから。

 壊して優越感だけが自分に降りかかる。

 それでよかった。
 
 只、一言鬼道に言うとなればこう言うだろう。

 「悪い。我儘な俺で——」
 
 「いいんだそれで」
 
 不動の腕から剣が滑り落ちる。鏡に映したように鬼道の腕からも滑り落ちる。
 ああ、負けたんだ。
 体の自由が利かなくなる。鬼道が不動を抱き締めているから。
 「不動……良い突きだったぞ」
 「そう……かい」
 
 
 
 
 
 
 
 ドサッ————