二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: イナGO天国から聞こえる〜出逢うべき双子〜アンケ実施中 ( No.282 )
日時: 2012/08/21 12:25
名前: 冬ノ華 神ノ音 ◆Ui8SfUmIUc (ID: f9mkXew8)
参照: ピクシブ〜始めました♪(アメミヤだw


参照2000突破感謝祭特別短編

 
 蘭丸の物語


 「強く、なりたいな」
 
 
  

 
 
 誰もが一度は口にしたことが有るであろうその言葉。誰もが何かに憧れ、それになりたいと願うのは不思議ではない。至って普通の感情であろう。少年なら尚更の事。
 小さい時の蘭丸はそんな事を考えていた。人々を守れる"ヒーロー"になりたいと思っていた。悪事は許さない。皆に尊敬される様な。そんな事ばかり考えていた。
 木の棒を振り回し、悪い事をしている子供をやっつけていた。端から見れば只の子供の遊びかもしれないが蘭丸にとってはヒーローになれる第一歩だった。こうすればなれると信じていた。元気に野原を駆け回り、遊んだり戦ったりしていた。
 だが、そんな事をしていれるのも子供の少ない時だけだった。何時しかそんな思いは薄れ、気づけば無くなっていた。
 「俺は、王になる。誰もが恐れる王になるんだ」
 何故そんな事を言ったのか解らない。口走ったのかもしれない、冗談である。嘘なのである。強がりなのだ。出来もしない事を言ってしまった。蘭丸は悩んだ。大仰ばかり並べて劣っている、どうしたらいいのか。
 答えは簡単だった。強くなればいいのだ。確かにそうかもしれない。言うだけは簡単だ。それが出来るか出来ないかで変わる。自分は出来る奴だと信じていたい。だから、必死に努力した。ずっとずっと剣を握り続けていた。人より強く、人より出来ている人間でいたい。プライドの高い自分——そんな事どうでもよかった。自分が優位に立っている事が嬉しかった。褒められるのが何よりも嬉しかった。喜ばしい事だった。
 他人の目は冷たかった。元々蘭丸の居る学校は優等生ばかりが居る所ではないし、有名校でもない。正直"強さ"にこだわる人など少なかった。その為冷たい目で見られていた。だが、そんな事どうでもよかった。自分は自分。他人など関係ない。それが蘭丸だった。
 その努力が幸を結び、蘭丸は晴れて守護人になれた。いや、なりたいとはさらさ思ってはいなかった。これこそレジーナの策略だった。元は狩人になっていたかもしれない。レジーナさえいなかったらあのふたりは戦う事などなかったかもしれない。レジーナさえいなかったら双子はあんな形で逢わなかったかもしれない。
 そんな裏があるとは知らず蘭丸は精一杯働いた。ご機嫌取りをしていた。どうも最初からレジーナの"お気に入り"にされていたようで事あるごとにご機嫌を取っていた。髪を結い、服を着替えさせ、キスをして。何でもしていた。嫌々ではあったが仕方なかった。
 
 
 
 
 
 
 これが自分が見た夢か。ああ、なんて脆い。今や只の忠実な"犬"ではないか。確かにチカラはある。だが!だが、こんな事をしたかったんじゃない!!
 
 
 
 ああ、自分の未来はあの人の掌の上で転がされているのか。全て決められているのか。