二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: イナGO天国から聞こえる〜出逢うべき双子〜アンケ実施中 ( No.297 )
- 日時: 2012/08/27 21:09
- 名前: 冬ノ華 神ノ音 ◆Ui8SfUmIUc (ID: NuyUCoME)
- 参照: http://mb1.net4u.org/bbs/kakiko01/image/610jpg.html
「ちょっ待てって!」
飛び降りようとした自分の体が第三者によってしっかりとバランスを取られる。片腕を掴まれただけなにも関わらず落ちる気配はない。
倉間はビルの屋上から飛び降りようとした。それを誰かによって止められたのだ。その者はぐいっと腕を引っ張り、倉間を屋上の地面へと下ろす。
「何してんだよ……アンタ」
忌々しそうにそう呟く。倉間は鋭い目つきで其の者を睨む。その者は男だった。自分より背の高い、少年だった。ゴーグルを頭につけており、それで髪を固定しているようだ。
「ちゅーか、あんな瞬間見たら止めざるを得ないつっかー、止めなきゃダメっつーか」
「どう言う意味だよ。俺は同情何ざされたかぁねぇんだよ!」
声を荒げる倉間にその少年は「まぁまぁ」と宥める。その少年は倉間の意見など聞き入れる様子はなく勝手に話を進める。
「まっとにかく俺んち来いよ!」
ニッと笑うその少年は眩しかった。
「……でー? 自殺したいと?」
倉間は初対面の少年・浜野海士に全てを話した。何もかも。何故かは解らないが話してしまった。
「ああ、そうだ」
「へぇー。でさ、速水の電話相手?あれさー……」
一旦そこで言葉を切り、あはっと力なく笑う。
「それ俺なんだわ」
一瞬その場が凍りついた。ピシィッと倉間と浜野の間に亀裂が見える……気がする。
「はぁっ!!!!?」
「俺と速水友達なんだわ。だからさー」
倉間はそれを聞き、口に笑を含む。「そういう事か……」倉間は無表情で続ける。
「要は、自分の言動の所為で出て行かれ、その上自殺までされたら迷惑だから止めてくれとでも言われたのかよ?そうだろ?」
浜野は少し険しい表情になった。
「違う。ちゅーか、俺はお前の顔とか知らないし。それに、確かに速水は迷惑してた。でも、心配してる」
浜野のその言葉に倉間は眉をひそめる。そして、ぎりっと歯を食いしばる。
「適当な事言ってんじゃねぇよ! 追い出したくせに何で心配してるなんだよ!!!」
声を荒げ、浜野の胸ぐらをつかみ、殴ろうとする。……が、それを浜野の顔面すれすれで止まる。倉間が止めたからだ。
「お前殴っても意味はねぇ………」
倉間は浜野を離し、背を向け「悪い」とだけ謝った。そして出ていこうとする。
「待てって!! 言いたいことがあるんだよ!」
浜野が引き止めると、倉間の足は止まる。少し笑い続ける。
「ちゅーか、俺はお前と仲良くしたんだよなー俺らみたいに強くなろうぜ。人のために戦おうぜ!」
「……断る。俺にそんなことする資格はねぇ」
浜野は少し寂しそうな顔をする。倉間は少し振り向き、その顔を見るが無視して帰る。
「そいつに世話になったなって言っといてくれや」
「俺にはこれが合ってんだよ……」
夜の街を歩き、月を見ながら寂しそうに顔を歪める。
孤独が一番合っていた。
何時でも自分を慰めてくれる、唯一裏切らない存在。
無二の存在。
「俺だって、強くなりたい。でも、そんな資格ねぇんだよ……!」
「そんなことねぇよ、馬鹿倉間」
「——え」
気がつけば後ろにいる浜野と速水。二人とも笑っていた。
「ちゅーか、お前には俺らがいるっつーの?心配すんなって!」
「僕ができることなら何でもします」
「お前ら……馬鹿だろ………俺みたいな奴に関わってたらろくなことねぇぞ?」
涙が目に溜まる。
「そんなことねぇし!」
「はい!」
俺はこいつらといていいの?
————いいんだよ