二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 殺人鬼少女 任務3(後半)更新〜☆ ( No.48 )
日時: 2012/06/08 23:36
名前: 音愛羽 (ID: bJXJ0uEo)

任務4


眠らされていた中原湊は目を覚ました。
まだ体は動かない。頭はくらくらしている。
ゆういつ動かせる目を開け、自分の周りを見渡した。
ここは自分の部屋だ。ただの見慣れた自分の部屋。
さっきまでまとめていた書類は机の上に散らかったままで放ってある。
どうやら自分はどこかに寝そべっているようだ。
感覚からするときっとソファーだろう。
明かりは一番小さな光にしてあり、薄暗い。
不気味なオレンジ色のは鈍い光を放っていた。

「あら、起きたんですね」

綺麗なソプラノの声が部屋に響き渡った。

「あぅ・・・うぅ…」

何かを言おうとしたのか声を上げるが言葉にならない。
少女は笑うと、

「まだ薬が効いてます。当分動けませんよ」

といった。
中原湊は緊張と焦りを感じながら、今頭によぎったことを想像して身震いした。
--------自分は今からこそされるのではないか。この幼い少女に…--------そう思ったのだ。

「そうそう、改めて言いますね、用事」

ニコニコと顔は笑っているのが、目だけ笑っていないことは中原湊にもわかった。
そうして確信した。

‘この少女は自分を今から…’

少女…彼女はパチン、とゴム手袋をはめる。
そしてカバンの中から取り出したらしい、ナイフを見て微笑む。

「中原湊さん。あなたには今から死んでもらいます」

さっきから変わらない笑みを浮かべながら、中原湊のほうへとだんだん近づいていく。
バックで光るオレンジ色の光が彼女をより不気味にする。
ナイフもその光を反射してギラリと光っていた。

「あぅ…い…ぁ…あ」

おそらく他の誰かがこの声を聴いても何を言っているか全くわからないだろう。
しかし彼女は何でもお見通しだ、と言わんばかりに

「いやだ…と言われても困ります。私だって‘命令’で来てるんですから〜」

中原湊の言ったことに返事をしていた。

「かわいそうなヒト。まぁ仕方ないんですよ?
  そもそも、どうせ人間というものは死へ向かって生きているのです。
  みんな死ぬんです、死と隣り合わせなんです。
  おじさんはその“死”がすこぉ〜し早かっただけです。
  すぐにあのおばさんも死にますよ。
  一人じゃないんです、心配しないでください。
  ふふ、じゃあ死への旅、どうぞ楽しんでください」


少女はそういうと、腕を振り上げる。
彼、中原湊が最後に見たものは、満面の笑みを浮かべた少女と、その細い白い腕の先に握られたナイフから反射された鈍い光だった。

彼女は目を見開いた中原湊の胸に向かって----何のためらいもなく----手に持っていたナイフを振り下ろした。

数秒してやっと息の根が止まったようだ。
目を閉じた中原湊を見ると笑っていた顔を無表情に戻し、“いつもの手順”で片づけると元来た裏口からそそくさと出て行ったのだった。











「任務、完了しました」









最後の笑みは天使の笑みだった。