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Re: 第十一章 ほのぼのアフター⑥ 第2話① ( No.423 )
日時: 2012/08/30 13:44
名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: WV0XJvB9)

千里はいつも一人だった。

可愛らしい顔立ちをしており、第一印象は清楚なお嬢様を思わせる。

そのため周りの人は千里に興味を示し、近づいてきてくれる。

だが素直になれない性格が災いして、突き放すような言い方をしてしまうのだ。

結果、近づいてきた人は皆離れて行ってしまい、千里は孤立してしまう。

『綾女って偉そうでムカつくよなぁ』

『何様のつもりって感じよね』

そんな悪意ある言葉がいつも千里の周りで飛び交っていた。

いじめられることもあった。

小学校に入学した頃はそんな性格ではなかった。

そうなってしまった原因は、両親の離婚だった。

それまで千里は、母親も父親も大好きだった。

だが離婚の意味をまだ理解できなかった千里には、大好きだった母親が自分を置いてどこかに行ってしまった。

母親は自分のことなど好きではなく、いらないから捨てたのだと。

裏切られたと思った千里は、信じるという行為に疎くなり、その代わりに疑うことを知ってしまった。

近づいてくる者たちはきっと自分をまた裏切るのだろう。

そう思うと素直になれなかった。

だが逆に自分の引き取り、懸命に男手一つで育ててくれる父親のことが一層好きになった。

世界でただ一人、自分を見捨てずにいてくれる———そう思えたからだ。

学校でどんなに孤立しても、いじめられても、友達がいなくても、父親だけ居てくれればいい。

その思いだけで、千里は毎日を過ごしていた。

だがあるとき、その日常は崩れ去った。

ビルの崩壊事故により、千里の父親は行方不明になってしまったのだ。