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Re: 第十一章 ほのぼのアフター⑥ 第2話② ( No.424 )
日時: 2012/08/30 13:44
名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: WV0XJvB9)

その日から千里は本当に一人になった。

親戚も皆、千里を引き取ることを嫌がりもめていた。

千里自身も、そんな親戚に引き取られるくらいなら、一人のほうがマシだと思っていた。

家事全般は父子家庭であったため一人でこなす事は出来た。

しかしクラスメイトも近所の人も、『可愛そう』と口だけの言葉を並べるだけで、千里の穴は塞がりはしなかった。

いずれ電気も水道も止まり、静寂しか存在しない部屋で一人千里は泣いた。

「パパに会いたい……」

一人でそう呟いた。

「なら願ってみてはどうだい?」

「え?」

独り言にどういうわけか返事が返ってきた。

目の前には見たことも無い生物がちょこんと座っていた。

「僕はキュゥべぇ。僕と契約して魔法少女になってくれないかな?」

「ま、魔法少女?」

漫画やテレビで見た変身して戦う少女の姿が思い浮かんだ。

そう、現実ではありえない存在なのだ。

これは夢か幻か。

どちらにせよこんな物を見てしまうほど精神を病んでしまったのか。

千里は幻をはらおうとした。

しかし次の言葉を聞き、千里はそれを思いとどまった。

「もし契約してくれればどんな願いも叶えてあげるよ」

「どんな願いも……?た、例えばパパを探すための魔法とか?」

「お安い御用さ。君が望むのならね」

これが夢や幻なら、それに身を委ねてみてもバチなど当たらないだろう。

どちらにせよ、この現実の世界に頼るものなどないのだから。

「じゃあお願い……。パパを見つけるための力が欲しい」

「わかった。君の願いはきっと遂げられるだろう」

こうして千里は魔法少女になった。