二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 第十一章 ほのぼのアフター⑥ 第2話③ ( No.425 )
日時: 2012/08/30 13:45
名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: WV0XJvB9)

千里は魔法少女になり、『千里眼』という魔法を得た。

一度見た相手の魔力を記憶し、追跡することが出来る能力だ。

この魔法は過去に出会った者も対象で、もちろん父親を追跡することも可能だった。

しかし千里はすぐには父親を探すことをしなかった。

しないというよりは、出来ないといったほうが正しい。

頭の中ではすでに理解も出来ているし、覚悟も出来ている。

それでもその事実を認めてしまえば、今生きるための希望を失ってしまう。

生きるための目標さえあれば今はまだ立っていられる。

なのに現実は千里を追い詰めていった。

千里は土砂降りの雨の中を息を切らしながら走っていた。

千里の魔法では魔女と戦うことなどまったく出来ない。

だから幾度と無くこのように逃げてきた。

魔女の気配が無くなると、千里は立ち止まって息を整えた。

そして服が汚れることも構わず、その場に座り込んだ。

「何やってんのかな、ちーは……」

魔女からも逃げ、現実からも逃げている。

元々行くところもないはずなのに、なぜ逃げて、何から逃げているのだろう。

「もう良いかな……」

もう認めて、諦めて、楽になっても良いのではないか。

そう、父親はもうこの世には———。