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Re: 第十一章 ほのぼのアフター⑥ 第3話⑤ ( No.431 )
日時: 2012/08/30 13:49
名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: WV0XJvB9)

買い物が終わってから、再び千里の魔法地図で魔女の行方を調べてみたが、未だに反応は無かった。

そのためまたもや時間を持て余してしまった二人は、千里の提案でゆまの持つ荷物を一度置きに帰ることになった。

その帰り道、ふとゲームセンターを前にしてゆまの足が止まった。

「いきなり止まってどうしたのよ?」

「あのヌイグルミ……」

ゆまの視線の先には店頭に設置されたUFOキャッチャーがあった。

その景品の中にウサギの耳を生やし、顔はネコ、そして手足が長いという珍妙なヌイグルミがあった。

「アンタ、あんなのが欲しいの?」

「昔、ママがくれたヌイグルミの違うやつなの。懐かしいなぁって」

「……」

『ママ』という単語に、当然ゆまにも母親がいるのだということに今更ながら気がついた。

他人の家庭に口を出すつもりは無いが、ゆまは自分のように母親に裏切られてはいないのだろうか———ふとそんなことを思った。

「ねぇ、アンタはママのこと好きなの?」

「んー。わかんない……。ママは凄く怖い人だったし、ゆまがいけない子だってたくさん痛いことされたし。居なくなった今は、ちょっと寂しいなって思うけど……」

「居なくなったって……」

「ママもパパも死んじゃったから」

「!!」

千里と同じだった。

しかもゆまの口ぶりだと、きっと母親はゆまを虐待していたのだろう。

ゆまも母親に裏切られた。

そして今は一人ぼっちなのだ。

一人であると思い出すことがどれだけ辛いことか、千里はよく知っている。

だから今自分が聞いた事柄がどれだけ軽率なことだったのかも理解できた。

しかしやはり素直に『ごめん』とは言えなかった。