二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第2話 ( No.452 )
日時: 2012/11/07 13:55
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■始まりの消失④

「よっと!」

佐倉杏子は魔女結界の出入り口となる歪から飛び出てきた。

杏子が出てから少しすると歪は跡形もなくなってしまった。

「最近、やたらと魔女が多い気がするなぁ」

ほぼ毎日と言っても過言ではないくらい魔女が頻出していた。

さして強力な魔女は出現していないため、対処に困ることはないが何となく気味が悪い。

「ま、グリーフシードに困らないのはいいけどさ」

杏子は手に入れたグリーフシードを懐に入れてその代わり、棒つきのキャンディを取り出して口に咥えた。

「鈴音みたいなのが出てこられたら困るな……」

杏子は別に誰に言うでもなく独り言をぼやいたつもりだった。

「鈴音……。懐かしいわぁ」

「!!?」

突然背後からした声に驚き、杏子は思わずキャンディを噛み砕いてしまった。

「な、誰だ!?」

振り向いた先には、夜中だというのにやたらと目立つ純白のフリフリドレスを着た女が立っていた。

しかも月明かりの下で日傘まで差しているという奇妙さだった。

「鈴音って、おかっぱの子よねぇ〜?」

「そうだけど、知ってんのか?」

「知ってるも何も……あの子、私の妹だものぉぉ」

「!!」

日傘から隠していた顔を覗かせた。

その底なし沼のような光の無い眼は、杏子が鈴音の記憶の中でみた女のものだった。