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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第2話 ( No.453 )
日時: 2012/11/07 13:56
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■始まりの消失⑤

「お前……!」

「やぁねぇ〜。そんな怖い顔してぇ」

殺気のこもった眼差しで睨みつける杏子に対し、女はニタニタと笑っていた。

「てめぇ……何なんだ!」

杏子は槍を女に向けた。

「そうねぇ〜。ま、言ってもいいわよねぇ。私、アナタとアナタの友達、み〜んな殺しちゃおうと思ってるのぉ」

「なっ!?」

まるで明日どこに出かけるのかと聞かれ、思いついたままショッピングと言う様な、あまりにも軽い調子の言い方だった。

「ふざけてるのか!?お前にアタシがやれるとおもってんのか!」

杏子は地を蹴って女に向かって跳んだ。

杏子は空中で女と目が合った。

女が唇を動かした。

杏子には、女が何を言ったのかが何となく読み取れた。

『アナタもう負けてるわよぉ』

何を言ってるのだ?

杏子は女が何を言っているのか理解できなかった。

武器一つ持たず、ただ手のひらをこちらに向けて立っているだけの女が何を言っているのかと。

「———!!?」

そう思った矢先、杏子は突然激しいめまいに襲われた。

グニャグニャと身体がゴムにでもなったかのような感覚。

まるで幻でも見ているかのようだった。

(な、なんだ?)

夢か幻か、女の差し出された手がとてつもなく大きくなり、それは軽く杏子を覆うくらいになっていた。

杏子が認識できたのはそこまでだった。

杏子はそのまま暗闇へと落ちていったのだった。