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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第3話 ( No.460 )
日時: 2012/11/08 10:51
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■捜し求める者⑥

天音リンは自身がよく訪れる公園に来ていた。

リンが来る時間は既に人気のない時で、普段はほとんど人を見かけることなど無い。

しかし今日は思いもよらぬ人物がその公園に居た。

「更紗……か?」

暗がりの公園の入り口に派手なドレスを着た九条更紗が日傘を差しながら一人で立っていた。

「あらぁ〜リンちゃん。偶然ねぇ」

「よく言うぜ。待ち伏せしてたんだろ?」

「フフ。たまたまよぉ」

リンは更紗から一定の距離をあけて対峙した。

「何の用だ?」

「大したことじゃぁ、ないのよぉ」

更紗は巨大なカバンを出現させた。

リンはその中に人形が入っていることを知っているし、その人形が何なのかも知っていた。

故に大して驚くこともせず、依然として警戒心のこもった視線を向けていた。

「実はねぇ、面白いおもちゃを手に入れたのよぉ」

「……」

更紗は人形のことを『おもちゃ』と呼ぶことが良くあった。

更紗は自分のやることは全て遊びだと思っており、その過程で使う人形は『おもちゃ』なのだ。

「リンちゃんが良かったらぁ……一緒に遊ばない〜?」

「せっかくだが……お断りだぜ!」

リンは薄ら笑いを浮かべながら吐き捨てるように言い放った。

更紗は口元に笑みを浮かべつつ頷いた。

「そう……残念だわぁ。今回の『遊び』はとっておきだったのにぃ」

更紗はカバンを消し去り、リンに背を向けた。

「あぁ、そうそう。起こるわよ〜」

「起こる?何が?」

身体半分だけリンのほうに向け、口元を吊り上げてまるで怪物のような顔でリンを見た。

「極上の絶望が———!!」

更紗が人とは思えない笑い声を上げて暗闇の奥へと消えた。

「絶望だと?何をする気だ?」

リンには疑問と、湧き上がる不安感だけが残されたのだった。