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二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第4話 ( No.462 )
- 日時: 2012/11/09 09:42
- 名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)
■絶望の影②
(やっぱり私も……。でも———)
役に立てるのかという不安もある。
それとまどかを狙っている者は、インキュベーターのように契約させることを目的としている節がある。
今ここで契約することはある意味相手の思うつぼなのでは無いだろうか。
契約した結果、最悪の事態を引き起こしてしまうのではないだろうか。
そう思い悩んでいるうちに信号が青に切り替わり、人々が歩を進め始めた。
まどかはハッとなり、自分も信号が再び赤になる前に渡らなくてはと一歩を歩を進めた。
と、その時反対側にいる一人の女性と眼が合った。
たまたま眼が合っただけ———そう最初は思ったが、明らかにその女性はまどかを見ていた。
(誰だろう?)
往来する人ごみの中、その女性は一人立ち止まり、まどかに向かってまるで手を差し伸べるかのように手を前に突き出した。
その様を見た瞬間、まどかの周りから一瞬にして人が消えた。
「!!?」
さっきまで溢れかえっていた街の賑やかな音も、人々の話す声も、犬の鳴き声も、車の通る音も、何もかもが消えていた。
ただ信号機だけが青から赤へと切り替わり、この非現実的な空間に少しばかりの現実味を持たせた。
「これは……!?」
「な〜んにも無い……。希望を失ったぁ、未来のなぁい世界よぉ」
「!!?」
背後からした声にまどかは振り向こうとしたが、突然抱きつかれたかと思うと、眼と口を手で塞がれてしまった。
「視覚を失い、そして言葉を失う……。そしてぇ〜」
「———!!」
耳が聞こえなくなった。
眼と口を塞がれ、耳が聞こえなくなり、まどかは本当に何が起きているのかわからなくなった。
沸きあがる恐怖に叫び声をあげたくても、それすら出来ないのだ。
まどかはそうして何も理解できないまま、意識は消え去った。
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