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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第5話 ( No.464 )
日時: 2012/11/09 09:44
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■歌声の魔女②

「更紗はあれこれと状況を引っ掻き回して、その過程で生まれた絶望を見るのが趣味なんだ。だから奴のやることには目的なんて無い。いうなら純粋な悪ってやつなんだろうな」

「そいつが杏子に何かをしたってこと?」

「おそらく更紗の魔法によって佐倉杏子は既に人———」

二人の会話を遮るように、二人に突然寒気が走った。

その寒気は魔女が出現したときに垂れ流す悪意。

二人は突然訪れた魔女の出現に不快な表情を露にした。

「こんなときに……空気読めないんだから」

「ま、魔女がそんな気遣い出来るんならはじめから苦労しねーじゃん」

瞬く間に二人は魔女結界に取り込まれた。

おぞましい風景であることはいつもの魔女と変わらない。

だが基本となるその風景がどこか見覚えのあることに二人は違和感を覚えた。

「ここ……私の学校?」

結界内の風景はさやかの通う見滝原中学に似ていた。

「さやかの学校の誰かなんじゃねーか?」

「———かもね」

結界の中は禍々しい様子とは裏腹にとても静かだった。

(静かすぎる気が……)

未だ見えない魔女の姿を探しつつ、この静けさにさやかは不気味なものを感じた。

もし音楽のひとつでも流れれば、隅から隅まで綺麗に響き渡るだろうなと、さやかは何となく思った。

「!!」

突然、まるでさやかの思いを読み取ったかのように綺麗な歌声が結界内に聞こえ始めた。

(これって……!!)

その歌声を聞いた瞬間、さやかは顔面蒼白となった。

信じられないという思い。

耳にしてはいけないものを耳にしてしまったことへの焦り。

「リン!!」

さやかの叫びをかき消すかのように大音量の歌声を響かせながら、その魔女は姿を現したのだった。