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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第5話 ( No.466 )
日時: 2012/11/09 09:47
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■歌声の魔女④

「ま、まさか白井さんの『人魚の歌声』にかかってるの!?」

雪良の『人魚の歌声』は歌声を聞いた者を魅了し、動きを封じる魔法だ。

魔女となった今でもその魔法は健在というわけだ。

「私は白井さんから魔法を無効化出来るようにしてもらっていたから大丈夫なんだ……」

さやかはそっと魔女の様子を伺った。

魔女は歌声を響かせながら、ゆらゆらと揺れていた。

「今戦えるのは私だけ。私が白井さんを倒さないと———」

さやかは手に持った剣をギュッと強く握り締め、そして刀身を見つめた。

刀身に映った自分はひどく辛そうな顔をしていた。

今までたくさんの魔女を倒してきた。

だがかつての仲間をこの手で倒すのは初めてだった。

仲間だったから———そんな言い訳や甘い情は利かないのだ。

「これ以上苦しませるわけにはいかないよね」

さやかは物陰から飛び出し、リンから離れた。

リンからだいぶ離れたところで、さやかは魔女に向き直った。

絶望を生む魔女を憎み、希望を振りまこうとした雪良。

自ら絶望を振りまく者になってしまったことに、雪良は嘆いている違いない。

「白井さん、行くよ!」

雪良にはかつて救われた。

ならば今度はさやかが救う番だ。

その思いを剣を握る手に込め、さやかは魔女目掛けて飛んでいった。