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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第5話 ( No.467 )
日時: 2012/11/09 09:47
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■歌声の魔女⑤

さやかは自らに向かって伸びてくる硬化した包帯を空中でかわし、別方向から伸びてきていた包帯の上に飛び乗った。

そしてその上を駆けて魔女に向かう。

その間、さやかを倒そうと伸びてくる包帯を次々とかわし、徐々に徐々にと魔女に迫っていった。

攻撃の一つ一つは早く強力そうではあった。

しかしどの攻撃も本気さが無かった。

何も考えていなくても避けられそうなほど、攻撃に殺意が無いのだ。

まるで自らのもとへ導いているような、さっさと倒して欲しい———そう言われているかのようだった。

この場にいたのが偶然さやかで、そして偶然さやかは『人魚の歌声』が無効化されていた。

その結果、この魔女を倒す役目を負ったのはさやかとなった。

これは最早偶然ではない。

宿命、運命、そういった類のものなのかもしれない。

さやかはついに射程距離内に入った。

さやかは両手に剣を出現させ二刀流となった。

「スクワルタトーレぇぇぇ!!」

両手の剣から高速で放たれた斬撃は向かってくる包帯の攻撃ごと魔女を切裂いた。

「あああぁっ!!」

そして回転によって勢いを乗せた最後の攻撃は魔女の首を吹き飛ばした。

その攻撃はくしくも雪良と共に戦った魔女『レイアーノ』を倒した時と同じ攻撃だった。

さやかは地面に着地し、粒子となって消えていく魔女を見つめた。

散っていく粒子がまるで涙のように見えた。

「ごめん、白井さん。あと……ありがとね———」

崩壊していく結界、そして消えていく雪良を見つめながら、さやかはそう一言呟いたのだった。