二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第6話 ( No.471 )
日時: 2012/11/12 10:22
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■もう何も恐くない②

「ま、待って!!」

マミはその人影を追った。

その人影は軽々と2メートル以上ある建物と建物の隙間を飛び越え、しかも全力で追うマミをさらに引き離していった。

追っていくうちにだんだんと人影も建物も無くなっていった。

そして気付けば何も無い、舗装すらされず雑草が生え放題の野原にたどり着いていた。

その野原の一画は明らかに人の手の入った箇所があり、そこにはいびつな形のした墓標がたてられていた。

マミはその墓標の先に立つ一人の少女を見つめた。

「あなたは……」

マミはチラッと墓標に刻まれた名前を見た。

『夜科麗夏』と書かれていた。

「夜科さん……ですよね?」

投げかけられた問いに答えることはせずに、その少女は「ふふ」と笑った。

「見てわからないかい?アタシのこと……。まだまだ未熟者だね」

少女———夜科麗夏は振り向き、笑顔をマミに向けた。

「やっぱり……ずっと夜科さん行方がわからなかったから、その……死んでしまったのかと。でもなぜ今まで姿を見せてくれなかったんですか?」

「……」

麗夏は何も答えなかった。

マミはそんな麗夏の様子が自分の知っているものと違っていて不安になった。

麗夏の体温を確認し、生きているんだと確認しなければ今のこの状況が信じられなかった。

マミは墓標の向こうに居る麗夏に触れようと一歩前に出た。