二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第7話 ( No.488 )
日時: 2012/11/14 10:26
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■九条更紗①

更紗は昔から人の不幸が大好きだった。

更紗は親が自慢だと語るくらい、とても頭の良い子だった。

5歳くらいの時にはテレビのニュースでどのようなことが語られているのか理解できたし、新聞の内容もなんとなく読めた。

更紗がこうも情報を欲したのは人の不幸な話を見たかったからだ。

事件、事故、自殺。

人がどのように絶望し、そして死んだのか。

それらを想像するのが好きで、想像すると興奮した。

8歳の頃だ。

クラスで飼っていた小鳥が檻から逃げてしまう事件があった。

飼育係をしていた子の不注意だった。

クラスの先生は飼育係の子のために、小鳥を皆で探そうと言った。

更紗にはどうでも良いことでしか無かったが、普通の仮面をかぶっていた更紗は表向き飼育係の子のために探した。

15分ほど捜した時だった。

偶然、更紗は逃げた小鳥を見つけた。

人馴れしていた小鳥は更紗の姿を見ても逃げることはせず、簡単に捕まえることが出来た。

これでくだらない事も終わる。

そう思ったとき、ふと小鳥が悲鳴に近い鳴き声をあげた。

握る力が強すぎたのかもしれない。

そんなことはどうでも良い。

その声を聞いた更紗の心臓が高鳴った。

もしもう少し力をこめたら、簡単にこの鳥は死んでしまうのではないか。

この鳥が死んだらどうなるだろう。

クラスメイトはきっと悲しむだろう。

小鳥を逃がしてしまった飼育係の子は責任を感じて学校に来なくなるかもしれない。