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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第7話 ( No.489 )
日時: 2012/11/14 10:27
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■九条更紗②

見たかった。

クラスメイトが絶望に染まる顔を。

更紗は段々と握る手に力をこめた。

小鳥がやめてくれと言ってるかのように鳴き声をあげた。

それが悲痛の叫び聞こえて更紗は益々興奮した。

1分も経っていなかったと思う。

小鳥はグチャリとつぶれて死んだ。

握りつぶした瞬間、死ぬ瞬間。

それはあまりにも一瞬で、更紗は意外とつまらないなと感じた。

この後、更紗は自らの身体に少しの切り傷をつけ、そして小鳥の死体を持ち帰った。

クラスメイトと先生には、猫に襲われていたと説明した。

更紗についた切り傷を見た皆はそれを信じて疑わなかった。

始めて目の前で見る死だったのだろう。

クラスメイトは泣き喚いた。

飼育係の子はひたすら大声で謝りながら泣いた。

その様子が堪らなく楽しかった。

俯いて泣いている振りをしてニヤついた。

笑いを堪えるのが大変だった。

更紗はこの時、完璧に自身のことを悟った。

自分は絶望側に立つ人間だ。

希望などこれっぽっちもいらない。

絶望こそ、すべてなのだ———と。