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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第8話 ( No.496 )
日時: 2012/11/15 09:58
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■挑戦状⑤

(あの温厚な彰が怒ってる……。私たちが気圧されるくらい……)

『痛みの翼』は感情を読み取ることも出来るが、その逆に感情を相手に伝えることも出来る。

つまり彰の中に沸き起こっている怒りが、『痛みの翼』を通してほむらたちに伝播したのだ。

「それ以上、まどかちゃんに手を出してみろ———。出したなら……」

『ふふ、どうなるのかしら?』

「命の保障は出来ない。どうなるか、わからないぞ」

『くふふふ。私を殺しに来てくれるわけねぇ……死神さん。待ってるわぁ〜。ひははぁあ』

通話が更紗の手によって切られた。

彰は携帯電話を耳から離し、無言のまま俯いた。

「ねぇ、二人とも……」

ほむらとキリカは顔を合わせ、そして生唾を飲み込むと彰の言葉を待った。

「俺が、俺で無くなりそうになったとき、二人で止めてほしい。手足の一本や二本無くなったって構わない。だから俺が昔の俺になっていたら頼むよ」

彰は顔をあげてほむらを見た。

ほむらは返す言葉が見つからなかった。

彰の瞳の奥に宿りつつあるものを垣間見てしまったからだ。

ほむらが見た、彰の瞳に宿っていたいたのは、かつての『死神』だった。