二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第11話 ( No.505 )
日時: 2012/11/19 14:18
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■心の闇②

「うう……」

この時ほど、自分自身を呪ったことは無い。

以前、他人のために一生に一度のチャンスを棒に振るなど、馬鹿馬鹿しいとさやかに言った事がある。

思えば、それは自分自身に言っていたのかもしれない。

家族のためなど、そんな綺麗ごとを思い、願わなければ失うことは無かったのだから。

『お姉ちゃん、なんで助けてくれなかったの?』

「お前……」

目の前には妹が立っていた。

妹の首は普通の人間じゃありえない方向に折れ曲がっていた。

『お姉ちゃんは、私たちのことなんかどうでも良いんだよね』

「ちがっ———」

『魔女め……』

背後に、父が立っていた。

「!!?」

『お前のような魔女が居なければ、私たちはこうはならなかった……』

「あ、アタシは親父のため……」

『魔女め———』

父の手が杏子の首にかかった。

杏子の身体が固まった。

抵抗すれば簡単に振りほどけるだろう。

だが心のうちにある罪悪感がそれを拒み、身体を硬直させた。

「ぐぐ……」

少しずつ絞まっていく。

だが意識を失うよりも前に、突然父の身体が切り刻まれて消失した。

「はぁはぁ!」

朦朧とする意識の中、杏子は顔を見上げ、そこの立っている人物を見た。

『何やってんの?そんな奴、アタシならラクショーでしょ?』

そこに立っていたのは杏子だった。