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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第12話 ( No.508 )
日時: 2012/11/20 10:20
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■対峙②

(オレが気になるのは———さやか、お前なのに……)

どこと無く哀しい笑顔でそう頼むさやかのことを見ると、リンの心は妙にざわついた。

さやかのために何かしてやりたい。

そのために一緒にいるのに、さやかのためにさやかの元を離れなければならない。

この先最悪の事態が起きたとすれば、リンは今ここでさやかを一人にしたことを後悔するだろう。

ならいっその事、杏子のことは諦めて一緒にまどかを捜そうと言うべきか。

(言えるわけないよな……)

どちらか一方を見捨てるなど、さやかが出来るわけがない。

だからこうやって頼んでいるのだ。

さやかは杏子を見つけたときに起きる最悪の事態も理解しているのかもしれない。

その上で一人で捜すと言っているのなら、既に覚悟は出来ているのだろう。

(何より、こんな顔で頼まれたらことわれねーよ)

リンはさやかの手を解いて、ワザとらしく大きなため息をついた。

「しゃーねーなー。人使い荒すぎだぜ」

「あはは、ごめん」

「いいよ、こっちは任せとけ」

リンはさやかに背を向けた。

これ以上さやかを見ていたら、決意が揺らいでしまいそうだから。

「リン!気をつけてね……。あとここまでありがとね」

「っ!!」

リンは爪が食い込むのもお構いなしに握る手に力を込めた。

馬鹿野郎と言ってやりたかった。

(まるで死にに行くみてーじゃんか!!)

そう思っても、それを口にするのはあまりにもマイナス思考な行為だ。

「お前も、な」

そう搾り出すのがやっとだった。