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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第13話 ( No.512 )
日時: 2012/11/21 10:16
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■希望の価値観③

(こういうタイプは大事なものを失ってからじゃないと決断できないものなんだけどぉ……。どういう心変わりよ?)

「絶望しか信じていないあなたにはきっとわからないよ」

「な、なに?」

「人は絶望だけで終わるほど弱くないんだよ。どんな絶望だってその先にある希望のために進んでいけるの」

更紗は肩を抑えながらゆっくり立ち上がった。

「そんなのただの妄想だわぁ。現実は絶望に負けて死んでいくものばかり。今ある絶望を受け入れてしまえば楽に慣れるんだもの。それを受け入れずにさらに苦しんでまで手に入れるものかしらねぇ?」

「大切な人たちを守りたい」

「は?」

「その気持ちだけで、私は今ここに立っていられるよ」

更紗は揺ら揺らとゆれながら後ずさりし、そして少し行ったところで立ち止まって首を振った。

「理解できないわぁ。誰かのためなんてぇ……。本当に、アナタと私は逆みたいねぇ」

もうすぐさっきのまどかの魔力を感じ取った者たちがここに駆けつけてくるだろう。

そうなれば更紗に勝ち目など無い。

おそらくまどかの狙いもそこにあるはずだ。

しかし———。

「くふふふ」

「?」

こんな状況でも更紗は楽しくて仕方が無かった。

まどかには理解できないだろう、更紗の心の内が。

(ちょっと予定とは違うけど、初めからみ〜んなここに集まってもらうつもりだったのよねぇ)

更紗の根本は勝ち負けではない。

いかに自分が楽しむかだ。

それ故に———。

九条更紗は初めから勝つ気など———無い。