二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第14話 ( No.515 )
日時: 2012/11/22 10:25
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■心があるということ③

『よくもまぁ、そんな願いがまかり通ったものだ。意外と適当だな、インキュベーターは』

「何言ってるんすか?前に居たじゃないっすか。同じ願いをした、『蒼井明奈』が———」

『……』

ゴンべぇは首をキュゥべぇのほうに向けた。

その顔に浮かぶのは心のある者の笑顔だった。

「心って理解できるととっても苦しいんすよ。でもその心があるから、あの子たちは真っ直ぐ前を見つめ、進むことが出来る……。それがわかっただけでも、オイラという存在に意味があったんだって思えるっす。だから願うっす……。この世界が平和であるように———」

ゴンべぇが言い終わるよりも早く、ゴンべぇの姿は無くなっていた。

まるで初めからこの世に居なかったかのように跡形も無く消えていた。

『蒼井明奈……思い出したくも無い名を———』

少年は見下すようにしてキュゥべぇを見た。

『お前は殺さずに生かしてやろう。インキュベーターが居なくなると、保留した願いを叶えられなくなるからな』

「き、君はなんなんだ!?」

少年は口元を吊り上げ、まるで冗談でも言うかのような調子で、

『神様さ』

とその言葉だけ木霊に乗せて跡形も無く消えたのだった。