二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第15話 ( No.521 )
日時: 2012/11/26 10:43
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■消失の序曲⑥

彰は苦虫を噛み潰したかのような表情で後ずさった。

こいつは人間ではない。

そう本気で思わされた。

と、背後から殺気を感じた。

「!!?」

彰はとっさにその殺気を受け止めた。

「は、離せ!!そいつは織莉子の仇なんだ!!」

「さっきの話聞いてたか!?今は我慢するんだ、キリカちゃん!!」

「関係ないよ!!織莉子の仇さえとれれば!!」

彰とキリカの揉め事に、更紗は首を傾げていた。

「織莉子って、美国織莉子ぉ?私、知らないわよぉ」

「嘘つけ!!そんなわけない!!」

更紗の表情を伺う限り、本気でそう言っているようにも見える。

だがこの九条更紗という人間は中身が無い。

つまり嘘も本当もこの人間には無いのだ。

(とにかくまだアイツを倒すのは早い……。どうにか抑えないと———)

『う〜ん』

「!!」

一触即発のこの状況に、まるで緊張感の無い声が響き渡った。

それが映像の中からであることに、彰は少しして気づいた。

「ふふ、やっとお目覚めね。さぁ……とくとご覧あれ」

これから何が起こるのか。

その先の見えない不安が、この場に居るもの全員を包み込み、結果として皆を落ち着かせた。

そしてただ見ているだけの傍観者へと移り変わっていったのだった。