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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第16話 ( No.524 )
日時: 2012/11/28 14:26
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■蒼き姫君と紅き王子のワルツ③

紅蓮の騎士は蝋燭のようにゆらりゆらりと動き始めた。

馬の足音はどういうわけかせず、そのせいで空間全体が妙に静かだった。

さやかは両手に剣を出現させた。

紅蓮の騎士はそのさやかの動作が戦いの合図だと思ったのか、一気に間合いを詰めてきた。

紅蓮の騎士より突き出された巨大な槍を、さやかは剣で払ってかわした。

「!!?」

剣と槍が当たった瞬間、さやかの背筋がゾクッとした。

流れ込んできた相手の魔力、心がさやかを青ざめさせた。

「嘘、でしょ?」

感じたことがある———なんてレベルじゃない。

よく知った『心』だ。

「杏子……?」

さやかは今にも泣き出しそうな表情で紅蓮の騎士を見つめた。

高い位置から紅蓮の騎士はその視線を受け止めていた。

攻撃してくるわけでもなく、まるで心を通じ合わせようとしているかのように、紅蓮の騎士はさやかを見つめ返した。