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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第16話 ( No.527 )
日時: 2012/11/29 11:09
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■蒼き姫君と紅き王子のワルツ⑥

(攻撃も、速さも私以上じゃない……。魔女になってもやっぱり杏子なんだ)

息を切らしながら、さやかはどうすれば杏子を止められるか考えていた。

殺すのではない。

動きを封じられればいい。

甘いことだと思われるかもしれないが、もしかしたら言葉が、気持ちが届くかもしれない。

(愛と勇気が勝つお話によくあるしね)

そんなことを思って思わず笑みをこぼした。

もし自分が魔女になったら、杏子も同じようなことをしてくれたのではと思ったからだ。

「私、諦めたりなんか———」

ふと逸れかけていた注意を紅蓮に騎士に戻すと、いつの間にか空いた腕をこちらに伸ばし、手のひらを広げていた。

と、突然地面から巨大な槍がさやかと紅蓮の騎士を囲むようにして生えてきた。

「な、なに!?」

動揺するさやかを尻目に、紅蓮の騎士は広げた手のひらの形を変え、人差し指を下から上に動かした。

こっちにおいで、と誘っているかのような動きだ。

すると地面から生えた槍は一斉に紅蓮の騎士のほうに向かい、その背後で槍先をさやかに向けて静止した。

「ま、まさか!!」

紅蓮の騎士が人差し指をさやかに向けた。

それを合図に、巨大な槍の大群はさやか目掛けて飛んでいったのだった。