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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第16話 ( No.529 )
日時: 2012/11/30 10:22
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■蒼き姫君と紅き王子のワルツ⑧

「リン!!やめろ!」

「止めるな!!わかっただろ!!こいつはただ楽しんでるだけなんだ!!オレたちがいくら拷問しようと、こいつはあいつらを救う術なんて話したりしない!!なら……いっその事コイツを殺して!!」

更紗がフフフと笑った。

唇が切れて流れた血を手で拭い取り、それを服でふき取った。

「良いのかしらぁ?二人が戦っているのは私の魔法『ドールハウス』の中よぉ。私が死ねば、魔法の消失と一緒にあの子たちも……フフ」

「お、おまえっ!!」

リンの表情が、怒りと、憎しみと、悔しさと、悲しみを織り交ぜたような表現しがたいものとなった。

そして更紗から離れると、リンはヨロヨロと彰のそばに戻ってきた。

「ちくしょぉ……」

「リン……」

いつになく弱弱しく悪態をつくリンに彰はかける言葉が見つからなかった。

「フフフ、わかったかしらぁ?」

更紗は立ち上がり、近くに転がっていた傘を手に取ると室内にも関わらずそれを差した。

「アナタたちはぁ……見ているしかないのよぉぉ」

彰たちの中にその言葉に反論するものは居なかった。

更紗の高らかに笑う声だけが辺りに響き渡った。