二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第16話 ( No.532 )
日時: 2012/12/05 10:58
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■蒼き姫君と紅き王子のワルツ⑪

「さ、さやか……?」

杏子の瞳から、ツーっと涙が頬を伝った。

「何?アンタ泣いてるの?らしくないじゃない」

「だって、お前……あれ?」

訳がわからなかった。

そしてさらに訳のわからないことが起きた。

見渡す限り闇だったそこは、突如まばゆい限りの白い世界へと変わっていった。

「迎えにきたよ。一人ぼっちじゃ寂しいでしょ?」

このまぶしい世界と同じくらい、いやそれ以上にさやかの笑顔がまぶしく見えた。

もう目にすることなど出来ないと思っていたその笑顔は、杏子のこれまでの苦しみを一瞬で癒した。

「杏子は沈んで溺れていた私を助けてくれた。だから今度は私が助ける番……ってね」

「はは……なんだよ、それ……くっだらない。くだらないけど、すっごい嬉しいんだよね、なんかさ」

杏子は涙を拭って、八重歯を見せて笑った。

「わりぃ……手間かけさせちゃったね」

「気にしない、気にしない。だって友達でしょ?」

「ああ、友達だ」

さやかは杏子の手をさらに強く握り、後ろ振り向いた。