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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第16話 ( No.533 )
日時: 2012/12/05 10:59
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■蒼き姫君と紅き王子のワルツ⑫

「そろそろ、行かなくちゃね……私たちさ」

「ああ、そうだな」

少し寂しそうな顔をした杏子を見て、さやかは軽くため息をついて苦笑いした。

「そういえば……アンタさ、覚えてる?文化祭のあとに言ったこと」

「え?あー、お姫様がっどーこーとか?」

「それよ、それ。アンタが王子様なんでしょ?なのに何で私が迎えに来なきゃいけないのよ」

「だから悪かったって」

「今度は悲しませるようなこと、しないでよ」

「うん、そんなことしないし……そんなの、あたしが許さない」

二人は手を繋いだまま、光の始まりと思われる渦に向かって歩いていった。

そしてその渦に入る前、ふとさやかと杏子は振り向いた。

「皆、あとはよろしくね」

その言葉を残し、二人は渦の中へと消えていった。

どのような結末であろうとも、希望を信じ、二人は歩んでいった。

それを知る者は居ない。

だがそれはどうでもいいことだ。

別れは悲しい、そう思いはしても、二人は笑顔だったのだから。