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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第17話 ( No.537 )
日時: 2012/12/10 10:39
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■絶望は死を纏いて狂い踊る④

誰もが彰が人形にされてしまうと思った。

だがどういうわけか、更紗は後ろに飛んで彰から離れて距離をとった。

そして自身の手と彰を交互に何度か見比べ、顔をしかめた。

「どういうこと?」

更紗の口からボソっとこぼれた。

その言葉の真意を、攻撃された彰も、それを見ていた者も理解することは出来なかった。

「アナタ、何者ぉ?なんで『心』がないのよ?」

「え?」

彰は言われたことの意味がわからなかった。

『心』が無いなどと言われたことは未だかつて無いし、普通に生きていれば言われるような事でもない。

「アナタ、イレギュラーとは言え、魔法少女よねぇ。心無しにどうやって契約を……?」

更紗も本当にわからないのか、今までのふざけた様子も、露にされた不満もその顔には無く、あるのは疑問だった。

「まぁ、いいわぁ。とりあえず人質は出来たしぃ……残りのアナタたちには踊ってもらいましょうか?」

更紗は巨大なカバンを出現させ、その中に収められた人形をすべて出した。

「言わなくても、わかるわよねぇ?」

彰たちの表情が強張った。

更紗の言った意味不明な発言のことすら吹き飛ぶほどの緊張感が周りを包んだ。

更紗が出した人形は、更紗が魔法少女の『心』を抜き取って作ったものだ。

その人形に封じ込まれた『心』の末路は、先ほど見せられた杏子とさやかの映像で嫌と言うほど思い知らされた。

「立派に育った魔女たちと楽しく踊りなさぁ〜い」

一瞬にして回りの風景が一変した。

更紗は高らかな笑いと共に消え、彰たちだけが取り残された。

絶望と死が狂い踊るその世界で、彰たちもまた踊らされることとなる。